お前に敬意を5
Γうわあん、ごめんなさい!お姉ちゃん!」
レオが泣き出して、慌てて頭を撫でた。私は、子供になっていた。レオと背が近いので、私も5歳ぐらいだろうか。自分の小さな手を、しばしぼうっと見ていたが、レオの泣き声で我に帰った。
Γリュカ、何でこんなことするの!レオ君、泣いてるでしょ!」
わざとじゃないのだろう。レオの表情は戸惑っている。私がきっ、とリュカを睨むが、背が高い彼を見るのは一苦労だ。
突然、リュカが強風で飛ばされ、奥へと後退した。
ガッ
Γさっさとミヤコを元に戻せ。」
背後からルーがレオの襟首を掴んで引き上げた。
Γちょっ、ルー!」
Γうええん!できないんだよお!放してよお!」
Γ魔法が発動できるなら、解除もできるだろう!」
容赦ないルーに、レオは泣くばかりだ。
やめさせようとルーの腕を引こうとするが、私が小さすぎて万歳状態でも届かない。
Γもう、やめてったら!」
仕方ないので、ルーの長い足にしがみつく。
Γ解除する方法がわかるなら、レオ君だってすぐにお母さん元に戻してるよ!」
ぎゅぎゅっと足にぶら下がるようにして、ルーを見上げて説得する。びっくりしたように固まって私を見下ろしていたルーの目元が徐々に赤くなった。
Γ…それも、そうか」
呟いたルーが、レオの襟首をぱっと放した。怯えたのか、レオは私に抱きついてきた。なぜ、母親ではないのだろ?
Γうわあん、怖かったよう!」
Γよしよし、悪いお兄さんだね。」
Γ何?」
ルーを放って、レオを慰める。すると、レオは益々私に抱き着いて、私の顔を見ながら…
Γお姉ちゃん、可愛いね。」
と、キラキラした目で言った。一度、退行の魔法にかかるとそれ以上のことは起きないみたいだ。
そうか、でもこの魔法があればアンチエイジングも…ふふふ
Γうへへ、お姉ちゃん、僕のお嫁さんにならない?」
私が悪どいことを考えていたら、どうもレオも邪なことを思っていたらしい。
なでなでと私のほっぺやら手やらを触って、レオは、にまにましている。いつの間に泣き止んだの?
Γお姉ちゃん、可愛い!可愛い!かわっ」
言いかけたまま、レオは遠くへ吹っ飛んでいった。
Γ俺が触れないのに、あのガキ!」
悔しそうにルーが言ってから、ふらふらと私のほっぺに手を伸ばそうとするので、ぺちっとその手を叩いた。
Γ触るの禁止。」
Γ………く」
ぷくっと頬を膨らませて、私がつんっとそっぽを向くと、ルーは名残惜しそうに…私のほっぺばかりに視線を送っていた。
何故だろう?
マシュマロほっぺの魅力