お前に敬意を3
途方に暮れた息子が私を見ている。
赤い瞳。
Γお母さん」
罰なのだろうか。私が、この子を隠して育てた。
家から出さずに、私以外の誰にも見せないように。
夫は私が出産した直後、私達を見捨てた。
私に流れる血筋に気付いたから。
知っていれば、結婚などしなかった、と。
Γごめんね、レオ」
抱っこしようとしたら、力が無くてできない。
Γお母さん、ごめんね、僕…僕!」
Γ大丈夫」
レオが悪いわけじゃない。5年も閉じ込めた。
地面の感触。広い空。友だちとの遊び。
そんな自由を奪った。
一人部屋に籠り工作をしたり、本を読んで過ごす大人しい息子。私に外へ出たいと言ったのは、2歳ぐらいの時が最後。私の気持ちを読んでからは、文句も言わなかった。
朝、いつものようにレオを起こした。それだけだった。眠そうな目を開けたら、赤い瞳が隠されていた。
それを見ただけ。
低くなった視界。
どうしよう。息子の頭を撫でながら、私も途方に暮れる。
その時、玄関の呼び鈴が鳴った。
今のこの姿は見せられない。居留守を使った。
Γ入りますよ。」
そういう声の直後に、ドアは開いてないのに、ふわりと私達の前に一人の男が立っている。
Γこんにちは、新しい魔法使い。」
長い黒髪を後ろで束ねた男が、丁寧にお辞儀をした。
次回、ロリ?