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出会ったのは、黒髪の女(ルー視点)

召喚に失敗でもしたのだろうか?あの男に限ってそんなことがあるだろうか?


大きな魔力を感じて、昨日の夕方滝の辺りに行ってみた。

川に半分体が浸かった状態で、濡れた女が倒れていた。放っておいても良かったが、その色合いに興味が湧いて連れ帰ることにした。


「おい。」


靴先で、女の脇腹の辺りをつついた。

何度かしたが、意識は朦朧としたままだった。

仕方なく、かがみこんで乾燥の風で濡れた体を乾かす。それから、両腕を体の下に差し込み抱え上げた。

珍しい黒髪が揺れて、洗髪料だろうか優しい香りが鼻を擽った。

冷えてしまった女の体を自らの腕や胸の辺りで感じて、ふと気付いた。

自分がもう何年も人に触れていないことに。


「…う」


寒いのか、辛そうに呻く女を抱えて、家まで歩いた。魔法で翔んで、直ぐに帰ってもよかったが、なんとなくこの小柄な…まあ、少しばかり可愛い顔の娘の体をしばらく抱えていたかった。


肯定したくはなかったが、自分は人肌に餓えているようだった。


何十年も一人で生きていて、尚まだ…と、自分で呆れる。


ふっ、と女の瞼がゆっくりと開いた。思った通りの黒い瞳。暗くなってきた夜の星空をその瞳に写し、うっとりとした表情を浮かべまた閉じた。


「…何者だ、お前…。」


魔力を一切感じない。おそらく異世界から喚ばれた女。あの男がなぜこんな大技でわざわざ召喚したのか?

取り敢えずは、この女が起きたら聞いたらいい。

直接、心を探ってやろうと思った。




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