お前に敬意を
どちらが上か?!
Γ…起きろ」
Γんー、ミチル、まだ寝かせて」
Γミチル?」
Γも、うるさい。あっち行って」
Γ…………」
Γう…、ちょっ、どこ触って?!」
Γ………」
Γや、こら!ミチル!」
私はさわさわと触られる感触に驚いて、身を捩った。
Γどこ触って…!」
飛び起きて、そして私は見た。
Γあ…ごめん。」
Γ……お前」
私の足の裏が、見下ろすルーの顔面を捉えていた。
おそるおそる足を下ろそうとしたら、ガシッと足首を捕まれた。
Γ……ミヤコ、忘れたのか?俺は悪い男だということを…」
Γな、な」
にやりと悪い笑みを浮かべるルーが、掴んだ私の 足を持ち上げる。
Γえっ、いや、待って!ルー、寝ている私に何かしたよね?!」
気のせいかと思ったけど、なんだか胸やらお尻を触られたような…
Γさあ…、何だ?何かして欲しかったのか?」
しらをきるルーが、こんな風に…と、私の足に唇をつけた。
Γきゃあ!ご、ごまかして…!ちょ、やめっ!」
構わず悪い男は、私の足の指を舐めて、嬉しそうにしている。
Γや、やだ!」
膝下まである薄手のズボンのような物を着ているので、下着が見えることはない。でも、でも!これは恥ずかしい。
調子に乗ったのか、ルーはズボンの裾を上げて、露になった私のふくらはぎを撫でる。その間にも、足の甲にキスをして、足首を唇でたどり、ふくらはぎを甘く噛んできた。
Γあ、やめ、て…んっ」
ゾクゾクッと背筋が震えて、唇を噛み締める。変な声が出そうで、拳で口を押さえた。
足を美味しく食べられているような獲物の気分で、彼を直視できない。
ペロリと膝裏を舐め上げられて、体がビクッと震えてしまった。
そんな私の反応を横目で見やり、ルーはようやく足を離した。そのまま、力の抜けた私に覆い被さるように、ベッドに上がってきた。
Γ…なぜ誰も分からなかったのか。」
Γん…?」
涙目の私の顎を捉えて、ルーはじっと見つめてきた。
Γ男の格好をしても、俺には女にしか見えなかったがな。むしろ、色気が増して…試しているのかと…」
Γう、ん?!」
本能的な危機を察知し、心臓が更に加速した。
ギラギラした獣のような瞳を隠すことなく、ルーが顔を近付けてきた。
Γあっ、や…!」
Γこっちを向け」
彼との優しいキスは好きだけど、こういう無理矢理な唇は受け付けない。
Γミヤコ…」
バスッ
頭の下から抜き取った枕を彼の顔に押し付けた。
ふう、セーフ。
ルーが驚いている間に、彼の体の下から脱出。するりとベッドを下りた。
そりゃあ、彼は最強の魔法使いで、力では勝てない男性だろうけれど、その力を行使して私を好きに扱おうと思うなら大間違いだ。
だから、きっと睨んで言ってやった。
Γルシウス、私に触るの禁止!」
ルーが目を見張り、私を見上げる。
そんな彼に指を差して、ふんっと顎を上げて言った。
Γキス禁止!触るの禁止!偉そうな態度禁止!」
Γな、何だと?」
Γ守れなかったら、部屋別々にするから!もう一緒に寝ないからね!」
固まったルーを放って、着替えを持って部屋を出た。
どちらが上か!…じゃなかった、対等な関係を築きたいのだ、私は。
次回、新入りはまだ