旅立ち7
固まって何も言えなくなって、私は顔を覆った。
そんな風に言って、笑ったりして、キスをして…
これじゃあ、離れられないよ。
Γミヤコ」
この人は、もう迷ったりしないんだ。それなのに私は、彼を救いたいくて、傍にいたいと望む反面、彼を傷つけるのが怖くて逃げなければと。
Γ私、ルーと一緒にいたい…」
一番の私の望み。ただ一緒にいたい。
Γやっと言ったな。」
Γ私、予知のようなこと絶対にしたくない。もしそんな事態が起こりそうなら…」
そうだ、あるわけない。私がルーを殺したいなんて思うわけないのだから。最高の魔法使いなんて望んでもいないのだから。
Γ私がルーを守るから。」
Γくくっ、そうきたか。」
肩を揺らして、ルーは可笑しそうに言った。
Γ人間のお前に守られるのは有りとして、殺されることはない。力的に俺の方が強いわけだし、可能性としては俺がお前に…」
黙ってしまったルーを見上げる。
Γルー?」
考えを巡らせていたらしいルーが立ち上がった。
Γ何でもない。それより…」
Γきゃ」
ベッドに転がされて慌てて起きあがろうとしたら、隣にルーも寝転がった。
Γ少し寝ろ。俺も休む。」
私の手首を引いて、ルーは目を閉じた。
Γ眠いの?」
Γお前がいなかったから、眠れなかった。責任を取れ。」
Γええ?」
Γ黙って寝ろ。」
私の手を掴んだまま、ルーは選択肢を与えない。
でも、昨日は確かにあまり寝れなかったんだよね。
酒場の喧騒を思い出し、私は服の砂を払って横になった。
Γお前は、本当に面白い女だな。」
私の背に腕を回して引き寄せて、ルーは呟いた。
Γお前がいないと…よく眠れない。だからちゃんといろよ。」
Γわ、わかった。」
おずおずと彼の胸にすがりついて、額を預けた。
Γ一緒にいるね。」
Γ…次逃げたら…やっぱり監禁する。」
ぼそりと言われた言葉は、眠った私には届かなかった。
次回 能力の有効活用




