旅立ち
砂漠の街を一人の少年が早足で歩いている。時折、後ろを振り返ったり、左右をキョロキョロして警戒しているようだ。
頭には砂避けの布を巻いて、足にも砂が入らないように靴の上から布を巻いている。
小柄な少年は、待ち合わせの場所にいた少女に気づくと駆け寄って、二人で並んで歩き出した。
Γ昨日はありがとうございました。ミチル。」
Γん、いや、僕は何も…ごにょごにょ」
たくさんの露店が並ぶ通り。アクセサリー屋で少女が立ち止まる。
Γわあ、キレイ。」
少女がペンダントを手に取り、しげしげと眺めている。
Γこれ、すごくキレイ、見て…、ミチル?」
隣にいる少年は、じっとイヤリングを見ていた。
Γ可愛い…」
Γミチル?」
頬を紅く染めて、イヤリングを見つめる少年に、少女は違和感を覚えた。
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Γ…って、何やってんだ?」
いや、そこで乙女って変装してる意味があるのか?
高い時計台の屋根に寝そべり、一部始終を視ていたルーは、心の中でツッコんだ。
少年の格好をしたミヤコは、ルーが視ているのに気付いているのかどうか、イヤリングをうっとりと見つめていた。
蛍を見た夜、ルーは島を出ると告げた。翌朝、二人で旅に出た。
旅二日めの今。
初日にミヤコの取った行動、それは…
少年に化けて、ルーから逃げることだった。
次回、なりきりを楽しむ