優しさと温度3
Γ買い物とかに行く時は、ルーはどうしてるの?その…髪とか。」
食器を洗いながら、私は聞いてみた。
黒髪は目立つはすだ。私でさえ、王宮を歩くだけですっごい見られていたんだもの。
ルーは、世間ではあまり良いイメージをもたれていない魔法使いだ。
彼が町中に急に姿を現したら、パニックではないだろうか。
Γああ。」
魔法でほうきに掃除させて、ルーは当たり前のように、瞬時に髪を金髪に変えてみせた。
Γおぉ、すごい。」
手品みたい。これならイメージチェンジもお手軽。でも…
Γもったいないね。折角の綺麗な黒髪なのに。」
Γ別に髪の色がどうこうなんて、どうでもいい。」
Γうん。でも…折角その色で生まれたのに、隠さなきゃいけないなんて。」
困ったように苦笑して、ルーはソファーに座り黙っていた。洗い物を終えた私が、近くに行くと、手を伸ばして私の腕を引っ張った。
Γわっ」
膝の上に横座りさせられて、わたわたと動揺して降りようとする私を、難なく腕に閉じ込めたルーは俯いた。私の頬に頬を寄せて、目を閉じた。
Γミヤコ、俺の昔の話を聞いてくれるか?」
Γルー?」
真剣な声音に、私は動きを止めて頬に触れる感触に集中した。
Γお前に聞いてもらいたい。俺は…」
生まれてすぐに、金貨三枚で親に売られた赤ん坊だった…
次回、泣き虫ミヤコ、代わりに泣く