熱と自覚と12(ルー視点)
雷にでも打たれたような感覚。彼女の指先から流れてくる膨大な想いに、息をするのも忘れる。
この複雑で深くて一途な想いが、自分に向けられていたことが信じられない。胸を憑かれるように苦しくなる。
ミヤコの秘めた感情は、温かくて優しくて切なくて、それでいて苦しくて悲しくて辛くて、それらをひっくるめて…愛してると…さざ波のように繰り返し流れ込んでは、俺の心に染み渡るようだった。
Γ…あいしてる」
直接耳に響いた小さな声に、はっと我に返った。
拘束が解けて、震える唇で、ミヤコが懸命に言葉を紡ぐ。
Γルー、愛してる」
心が温かくなって、それなのに苦しい。
Γ……悪かった。」
ぽろっと彼女の目から、耐えきれなかったように涙が一つ零れた。
ひどいことをしたと罪悪感を感じて、彼女の横に身体をどけた。
Γ怖がらせて…」
追い縋るように、ミヤコの指が俺の指を絡めて強く握ってきた。ちゃんと自分の心を伝えられたかわからなかったからか?
息が詰まり、彼女の名を呼ぶ声が掠れて震えた。
彼女に手を伸ばして、躊躇して止めたら、向こうから抱き付いてきた。
Γひっく、ふ、うっ、ふえ、えええん!」
火が付いたように泣き出したミヤコを、そっと片手で抱き締めた。まだ片方の手は、彼女と握りあっていたから。
すっぽりと腕に収まってしまう細い肩。
この女は、ミヤコは、絶対に傷つけてはならない存在だとわかった。
ぎゅうっと俺の背にしがみつくようにしていたミヤコの手が、やがて次第に力を失ってきた。安心したようにミヤコは眠ってしまった。
彼女の目元の涙を一滴唇で吸って、俺は目を閉じた。片手は握って離さなかった。
この深い想いに浸されて、眠りたかった。
そして、気付いた。俺とミヤコの好きの形は、どうやら同じだが、少しだけ違う。
そう、熱の高さのようなものが。
次回、ルーのデレ?