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熱と自覚と9

ルーと冷戦状態の私は、キッチンを占拠した。これ以上、胃袋を掴まれてなるものか。食いしん坊にも、意地がある。


腕捲りをして、夕食を作ろうと歩いてきたルーを押し退けて、包丁を持ってΓ私が作る」アピールをしておく。


Γ…作れるのか?」


不安そうに言いながら、ソファーに戻るルーを睨み、何を作るか考える。


Γ冷蔵庫がない。」


野菜は裏の畑で入手。水は地下水だろうか?蛇口がちゃんと付いていて、栓を捻れば出てきた。

コンロは、ガスだろうか?

冷蔵庫がないのに、肉や魚はどうしてるんだろう?

私が悩んでいると、まな板に油紙で包んだお肉が置かれた。

おお!お肉!


思わず目をキラキラさせると、ルーが鼻で笑った。むむ、馬鹿にして。

翔んで買って来たのだろうか?魔法使い便利。でも、その黒髪どうしてるんだろう?

謎だ。

その後、魔法でコンロに火をつけてもらい、私はハンバーグを作った。パンとスープとサラダ。

あー、結局半分以上、ルーに手伝ってもらっちゃった!悔しい!


ルーは、ハンバーグを食べたことがなかったらしい。どうやって作るのか聞いてきたけど無言を貫いたら、背後で作っているのを見て、メモを取っていた。


二人で無言で食べる。筆談も辞めた。食べる前に、もう一度だけ筆談で聞いた。


『ここから出たい』

Γここを出てどこへ行く?」

『た、旅とか?』

Γ嫌だね。意地を張るな、大人しく俺に囲われてろ。」


もう!


『私は、所有物じゃない。』


きっと睨んだら、向こうも睨み返してきた。どうも意見が噛み合わない。腹が立った私は、


『一生口きかない。筆談もしない。』


と紙に書いてから、無言で夕食を食べ終えたのだった。

肘をついて拗ねたルーを無視し、二人分の洗い物を済ませてから、足音荒くリビングを出て行く。


Γいい加減、口をきけ」


余裕のないルーの声が、背中に降ってきたが、私は振り返りもしなかった。本当に無言でいるつもりだった。

次回、ルーの反則行為

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