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熱と自覚と

ジークはルルカ国王に拝謁していた。


Γジーク・カリーザと申します。父の死去に伴い、この度家督を継ぐことになり、ご報告とご挨拶に伺いました。陛下、お目にかかれて恐悦至極にございます。」


玉座に座る子供は、膝を付くジークを苦笑して見下ろした。


Γ何度か父君に伴って来ていたよね、君の顔は覚えている。これからよろしく頼んだよ。カリーザの領主。」

Γはっ」


国王の背後に控えるリュカに、ちらっと視線を向けて退出した。謁見の間を出ると、窓の外では小雨が降り続いていた。

側近を引き連れて、客室に戻る。白い清廉な佇まいの王宮。だが、ジークの館よりも小さくて狭い。

カリーザの領地は、ルルカの国土を3分の1占める広いものだ。その為、国王も無視できないほどには影響力が大きい。

幼い王。

ジークは、ローレンを見くびっている。自分の方が、国をよく治められると考えている。いつか、血筋で王位を継いだような子供を引きずり下ろし、自分がとって代わりたい。グラディアも手に入れたい。ジークの野望のためには、それに必要なのは…


回廊を曲がったところで窓から中庭が見えた。

小さな庭には池があり、そこに娘が座り込んでいる。

Γあれは、魔女か。」


黒い髪。噂の召喚された娘だ。

ジークは興味を覚えて、中庭に降りていった。


雨の降る中、何が楽しいのか池の水面を見ている娘は、ジークがだいぶ近くに行くまで気づかなかった。

淡いブルーのシンプルなドレスに、灰色の羽織を纏った彼女が、慌てて立ち上がる。ジークに恥ずかしそうに微笑んで、小さく会釈をした。


濡れて艶の増した黒髪が、娘の白い肌を引き立てている。血色の良い赤い果実のような唇がΓこんにちは」と愛らしい声音を紡いだ。

希少な宝石のような黒い瞳に、ジークは数秒で魅了されてしまった。


黙ったままのジークに、困ったように首を傾けてミヤコは愛想笑いを続けた。髪の毛の先から雨粒がポト、と落ちた。




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