表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/207

私と彼女の望み11

ルルカに帰る道中は、ローレンと一緒の馬車だった。

Γねえ、来た時よりも人が減ってない?」

Γああ、リュカが先に国に帰したよ。帰るだけなら、行く時より気を使わないしね。」


足をぶらぶらさせて、僕も早く休みたいよとぼやいてローレンは欠伸をした。


Γ先に?」

Γ魔法で翔ばしたんだよ。あ、護衛は残してるから安心して。馬車とかは大きすぎて翔ばせないけれど、一度に十人以上は行けるよ。」

Γ便利だね。」


そういえば最初の頃、島からリュカに連れられてルルカに来たのもそれだった。

まばたきするぐらいの僅かな時間で移動できるなんて楽だな。


Γ魔法使いにとっては、グラディアでもルルカでも距離なんて感じないだろうね。」


ローレンが、にっこりして言った。


Γそうだね。」

Γまた会えるさ。」

Γ…え。」

Γ会える。」


私の心なんて、王様にはお見通しのようだ。返事もできず俯いたら、それ以上は言わずに彼は眠ってしまった。

大人びて見えるけれど、寝顔はあどけないなあ。

そう思って、私は到着までその寝顔を堪能していた。


*********


ルルカに帰って来て、宛がわれている部屋に着くと、どっと疲れが押し寄せた。グラディアでは、口汚い貴族に会わないようにしたり、それなりにいろいろあったから、知らず気疲れしていたようだ。

楽なワンピースに着替えて、ばふっとベッドに転がる。

目を閉じて休んでいたら、なんだか美味しそうな料理の匂いがしてきた。


Γ…もう夕御飯か。」

Γほら、飯だ。」

Γほあ!?」


声の近さに、驚いて飛び起きた。


料理皿を両手に持ったルーが枕元に立っていた。


Γほら料理上手な魔法使いの手料理だ。食べてみろ。」

Γ…は、はい」


美味しそうな匂いの誘惑に、ふらふらと彼に近寄った。そんな私を満足そうに眺める彼に、自らの胃袋も掴まれることを覚悟した。





最高の魔法使いとその虜の胃袋。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ