私と彼女の望み
王宮の門番は通達があったのか、私を見るとすぐに門を開けてくれた。
二重の門を抜けると、宮殿の広い玄関の辺りでローレンが待っていてくれた。私を見ると、飛び出してきた。
「ミヤコ!心配したんだよ、っ、その髪…!」
長さもばらばらでみっともなくなってるはずだ。私は手で髪を隠して、取り繕うようにごまかした。
「黒髪って貴重なんだってね。欲しいって言う人がいて、あげてたら遅くなっちゃった。」
「…ミヤコ。」
ローレンが眉を寄せた。私もかなりムリがあったな、と思った。
「…大丈夫?けがはないかい?」
心配そうに顔を見上げて、ローレンは私の腕をよしよしとさすった。またほろりと目から水分が流れそうになるのを、ぐっと堪えて頷く。
「連れ出してごめんね。」
「ううん、たくさん教えてくれてありがとう。」
私を痛そうに見てから、ローレンはそれ以上何も追及しなかった。彼の微妙な立場が、そうさせているのは分かっている。聡い子だ。
私はローレンに命じられたルルカから従って来た兵に、謹慎の見張りの名目で部屋の扉を守ってもらってベッドに入った。
いろんなことがあって、気分が高揚していたらしく、なかなか寝付けなかった。暗い天井を眺めて、明日はどうやってあの女性に会おうかと考える。
しばらくして寝返りを打って、窓の方を見つめていたら体の力が抜けてきた。
今度は…、いつ会えるのだろう。
私、やっぱり好きみたい…
彼のことを思い出していたら、いつの間にか眠っていた。
ほんのりと温かい心地が勝った。