大罪の魔法使い7
だいたい監視されてます。
階段を下りて、しばらく歩くと、ランプの灯りが連なる屋台の賑わいが近くなった。
サラは私達が話すのを聞いているようだが、何も言わない。小さいのに気を使っているみたいで、私は一緒に付き合わせてしまったお礼に、屋台で棒つきキャンデーを買ってあげた。
「ありがとう。」
にっこりして、キラキラした目をして可愛い。
サラは、私とローレンの少し前をてくてくと歩く。
「…リリアは予知で何か視たの?」
「…ルシウスが最高の魔法使いになり、自分の洗脳を破ること。そしていずれ自分が彼に殺される予知。だから、その前にルシウスを殺そうとしたんだ。他の魔法使いの子達を使ってね。」
立ち止まってしまった私を、ローレンは見上げている。
「酷いことを…」
「ルシウスは、全ての魔法使いの子達とリリアを、自分を守るために殺してしまった。おそらく、殺されそうになって洗脳が解けたんだろう。解けたと同時に、力を開花させた彼は最高の魔法使いとして今も生きている。皆に忌まれ畏れられながらね。」
ローレンは屋台の賑わいで迷子にならないように、またサラの手を繋いだ。
「でもリリアが死んだことで、グラディアの占領下におかれていたルルカは解放された。リュカや王位を継いだ僕の祖父が尽力して、グラディアとは停戦協定を結んだ。今までもこれからも仲良くするために、互いに努力を惜しまないと誓ってね。」
「ローレンとサラが結婚して、あなたがグラディアの王に迎えられるのも、それじゃあ…?」
「過去の忌まわしい歴史を清算するため、かな?」
見た通り、反対する人はたくさんいるけれどね、とローレンは肩を竦めた。
「なぜ、私に教えてくれるの?」
「先入観が無く、自分の意志をちゃんと持つ君を見て信用できると思ったから。」
くすっと笑って、ルルカ王は言った。
「君が最高の魔法使いになるのなら、君に世界を平和に導いて欲しいからね。」
「そんなこと…」
期待されているのだろうか?私なんかが大それたことをするとでも。
「私、私には…」
俯いた顔を上げて、
「…あれ?」
すぐ前を歩いていたはずの二人の姿がない。キョロキョロ…
人混み、呼んでも聴こえないぐらいの喧騒。
人、人、人…知らない人たち
「ヤバい…」
私迷子になっちゃった!