グラディアへ4
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ミヤコの馬車が襲撃された時。実はすぐにリュカは気付いていた。
向かいに座っていたローレンは、彼が馬車の後ろを振り返るので、何事か聞いたのだ。
「大丈夫です。少し進んで様子を見ましょう。」
御者と護衛に命じているリュカを尻目に、ローレンも後ろを確認した。すると、ミヤコの馬車が襲われているところだった。
「ミヤコ!」
慌てて自分の馬車を止めようとして、リュカが制した。
「大丈夫です。御覧ください。」
「…ルシウス!?」
魔法を使うリュカ以外の魔法使い。初めて見たルシウスは、ミヤコが喉を裂かれる前に、襲撃者を次々と倒していった。
あの非道な魔法使いが、人助けを?
信じられず見ていたら、ルシウスはミヤコの顔を見るのを躊躇する素振りを見せた。
その仕草は、彼女が自分を恐れるのではないかと不安がっているように、ローレンには感じられた。
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「私を助けた?」
私は素直には喜べなかった。人が死んだのだ。それに、彼は私が魔法使いになるのを見届けてやると言っていた。きっと今死んだら面白くないとでも思ってのことだと思う。
「…ミヤコったら…。」
私の顔を見て、苦笑してローレンが手を握ってきた。
「まあ、いいや。ほら、行こう。」
「う、うん。」
途端に緊張する私を連れて、ローレンは護衛の開けた扉から部屋を出た。
ちらりと私をもう一度見て、小さく呟いた言葉は私には聞こえなかった。
「これから面白くなりそうだね。」