結婚式8(ルー視点)
通りがかった給仕の者が、俺を見て逃げるように去っていく。リュカはそいつにちらりと目を向けてから、こちらを見た。
Γ気づいていましたか。」
Γさっきのミヤコへの態度もそうだが、その前も廊下であいつと何か話していただろう?それは予知のせいか?」
ミヤコも様子がおかしいが、リュカの今までのことを忘れたかのような従順な態度は違和感大有りだ。
Γ知りたいですか?」
さして悪びれもせず、リュカは淡々としている。
Γ……………」
迷う俺を無視して、リュカは昼食会の部屋の扉に視線を移した。
Γ我が国に利益かそうでないかが私の判断基準ですから、利益と思い考えを改めたまでです。皮肉ですが、それは予知を視たからです。」
Γ……それは、ミヤコのことか?」
Γあなた達は、予知の先の未来を信じると言いましたね。私もそれを信じても良いと思うのです。ああ、以前の私のやったことは謝りませんよ。あれは必要不可避な過程ですから。」
問いに答えず、どこか投げ遣りな風でリュカは話す。話が見えない。
Γ何を調子の良いことを…」
からかわれている気分がして、ぎろっと睨むがリュカは口元だけで笑う。
Γしかしミヤコが最高の魔法使いとはよく言ったものです。確かに彼女なら、我ら魔法使いの救い手となるでしょうね。」
Γどういう意味だ?」
Γはい、そこまで!」
割って入った声に、舌打ちをする。
近づいて来たローレンは、俺とリュカを交互に見て言った。
Γこんな日に揉めるな、皆が見ている。」
Γ揉めてません。」
言葉を返したリュカに、ムッとした表情のままローレンは部屋の扉の前に立った。
Γ行くよ。二人共おいでよ。」
リュカはすんなりとローレンの後ろに控えた。それから俺の方を振り返り、付け足した。
Γ私の言ったこと、直ぐにわかると思いますよ。」