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結婚式4

前グラディア王、ローレン、サラの前に私達は立っている。

右からリュカ、レオ君、私、ルーと並び、目を伏せがちに頭を垂れている。これは私には簡単なことだが、プライドの高いルーには大変抵抗のあることだったらしい。しばらく難しい顔をして、じっと突っ立っていたので、冷や汗かいて袖を引っ張たのだ。


Γお前のためにする。」


ぼそりと言って、ようやくしてくれた。

参列者は固唾を飲んで見守っている。心の声は様々で、

Γあのルシウスが頭を垂れた!」Γ思ったよりずっとカッコいいわ!」Γミヤコさん、美女!」Γすげー、歴史の1ページを今僕は見ている!」


等々…うん、まずまずの好感度で嬉しい。


Γ頭を上げよ。」


ローレンが玉座から立ち上がり、私達の傍まで近づいた。


Γ義父上、サラ、そして今日ここに集いし者、そして全ての国民に、我が臣下となった魔法使い達を紹介します。」


ローレンがリュカの肩に手を置く。


Γ長くルルカ王家に仕えて来たリュカは、皆ご存じでしょう。彼は宰相として国を支える傍ら魔法使いとして、その予知の力で…」


緊張して、ローレンの言葉が頭をすり抜けていくのを感じていると、前に座るサラと目が合った。まだ少女の王妃は、私ににこっと笑いかけてくれた。そして声を出さずに口だけ動かして伝えようとしていた。


『そのドレス似合う。キレイ』


鼻がツンとした。母親のことで私を恨んでいても仕方ないのに、サラは優しい。


『サラもキレイ』


同じように伝えて、ニコッと笑いかけた。

そしたら今度は右から帯を引っ張られて見下ろすと、レオ君が緊張でアワアワしながら私にすがるような目を向けていた。


そうだよね、まだ5歳だもんね!例え発明好きな天才でもね。


Γ大丈夫」


そっとレオ君の背中をさすってあげる。彼の母親は、遠くではらはらしながら見ている。ローレンがリュカの紹介を済ませて、レオ君の肩に手を置いたのを見て離れる。彼は一瞬泣きそうな顔をしていた。


Γこの子はレオ。特殊な力を持ち、その力は今後医療の発展を後押しするものです。とても賢く、その発想力で魔法の研究だけでなく…」


ちらっとルーを見上げると、彼は私をずっと見ていたらしく、こちらを向いたままだった。


Γ………」


思えば、とても不思議だ。私とルーは夫婦で、これからこの世界を変えていく。

魔法使いと人の共存する世界。分け隔てなく互いを尊重し合う世界。


ルーが、ふっと小さく笑い、私に腕を伸ばす。私はつい、いつものように彼の腕に両腕を絡ませ体を寄せた。すうっと緊張が嘘のようにほどけていった。


私には野心がある。

全ては、この愛しい人のため…

そして…


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