結婚式
Γあ、ちょっ…やめ…」
Γ何がだ?」
Γん、遅れちゃう…からっ」
Γ行かなくていい。」
清々しい春の朝…だと言うのに、夫に覆い被さられて起き上がれない私。
Γいや、ダメだって!今日はローレンの結婚と即位式だから!…あっ」
Γ見世物は御免だな。」
ルーは私の裸の胸を堪能して、のんびりしている。
Γそ、それは…ごめん、嫌だよね。皆に注目されるし、嫌な思いもするよね…」
Γお前の姿を皆にジロジロ見られるのは不愉快だ。」
Γ……ん?」
ようやく顔を上げたルーは、嫌そうに眉をしかめた。
Γ前の試合の時もそうだ。お前が姿を見せる度に、男共が色めきたつ。気付かないのか?奴等が心の中で、好き勝手にお前を…」
Γえ?」
試合の時は、緊張でそれどころじゃなかったんだよね。
Γ………これだから…いやいい。お前は、俺だけ見てたらいい。今日はずっとここで…」
Γえ、ダメだって…ん…」
顎を掴まれてキスされて、ルーの肩を押し返す。
Γはっ…でも、今日は私達が正式に紹介されて、偉い人達とも交流を持つ機会が…」
今は魔法使い同士で魔法について研究することが多いけど、これから少しずつ国の仕事を任せられるのだ。政治の中枢にいる人達と仕事をするために、自分達を知ってもらうことは必要だ。
Γ知らないな。」
抗う私の手を掴み、ルーは私の首にキスをする。
Γもう…ルー、やめっ、あ……拘束!」
Γっ…!?」
私の拘束の魔法で固まるルーの下から、何とか這い出す。
Γほら、急いで!遅れちゃうから、最初の印象は肝心よ。」
私は服を着ながら、ルーを振り向いた。
拘束を解いたルーが、恨めしそうに私を見ている。
Γ………お前、拘束の魔法ばかり上手くなるな。いい加減俺に掛けるのやめろ……癖になる。」
Γ…………………………」
Γミヤコ?」
口元を押さえて黙ってしまった私を、ルーが覗き込んだ。
Γ……………おえ…」
せり上がるものに、私は堪らず洗面所に走った。
Γ………………おい。」
ルーは、ショックを受けたらしい。




