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未来を拓け

Γ大事?……そうじゃない。自分が大事なだけだ。」


さっきまで悲鳴が上がりざわついていた観衆は、ルーの言葉に固唾を飲んで聞き入っている。

彼がどういった人物なのか、見定めたいのだろうか。


Γあいつが苦しめば俺も苦しい。あいつが傷付けば俺も傷付く。あいつが泣けば俺も辛い。あいつが死ぬなら俺も死ぬ。あいつが笑うなら俺も笑っていられる。だから、俺は自分が大事なだけだ。」


くつくつとリュカが声を出して嗤った。


Γ愚かな…。最高の魔法使いであった男が、誰かに心奪われるとは…一体昔のあなたはどこへ行ったのですか?こんなにも心弱くなるとは。」

Γ愚かなのは貴様だろ。」


何言ってんだ?とばかりにルーが鼻で嗤う。


Γ何百年も生きてて、貴様は何も知らない。」


リュカを見もせず言い捨てて、ルーは観衆を見上げたままで、よく通る声を張り上げた。


Γ俺はミヤコの為なら、この世界を焦土にしてもいい!だがあいつが望むなら、この世界を身を削ってでも守る!だから誰も俺達を邪魔するな!ミヤコと俺は命と力を分け合って、これからの長い年月を毎日毎日愛していとしんで、ただ生きていきたいだけだ!一秒だって無駄にせず、俺は自らをあいつに捧げて生きていく!あいつが俺の生きる理由で存在意義だ!だから…お前達人間がミヤコを謗ることは絶対に許さない!謗るなら憎むなら、俺だけにしろ!嘲笑うなら、ミヤコを愛しておかしくなった俺を嗤え!」


観客席の隅々に、ルーの声が染み渡るようだった。


Γ………ミヤコ」


隣にいるローレンが私を見る。

舞台のルシウスが、ふっと笑った。

とても穏やかで、どこか諦めたような、見惚れるほどの優しい笑みだった。

静かにむせび泣く私の肩に、ローレンが手を置いた。


Γほら、行っておいで。全く…」


言われて椅子から立ち上がる。気持ちばかりが早ってもどかしい。

足がもつれたまま、ぎゅっと目を瞑る。


あの人の元へ翔んで!私の魔法!



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