表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/207

御前試合8

Γミヤコを傷付けたな。」


悪名高き魔法使いが舞台に立ってからの第一声はそれだった。

しん、と静まった観客のことなど気にも留めず、ルーはリュカと対峙している。


Γだから何ですか?」


濃緑に金糸の刺繍が鮮やかな服に着替えたリュカは、私に怪我を負わされたことなど忘れたように涼しい顔をしている。

ローレンに確認したら、リュカは私達の宣伝に利用されていることには気づいている。私に負けても尚、ルーと戦うことを選んだのはリュカ自身の気持ちの問題だろう。


Γ…………」


赤い瞳が禍々しく輝いた。

何の予備動作も無くルーが翔んだ。リュカが間髪入れず光の玉を放つ。


ルーは結界を張ったが、それが一度の攻撃で霧散する前に翔ぶ。

リュカの目の前に翔んだところで、炎を至近距離で頬めがけて放つ。


Γまずは頬」


火傷で赤くなった頬を庇うリュカに、素早く拘束の魔法をかける。

解くことに意識が向いたところを、 足を払って倒す。


Γくっ…」

Γ次は腕。」


うつ伏せのリュカの腕に、ルーが片足を乗せる。


Γううう」


ぐぐっと体重を掛けたルーが、ぐりぐりと左右に足を動かす。


Γぐ…」


痛みに顔をしかめなから、振り向き様にリュカが雷の魔法を落とそうとした。振り向く時点で、避けて翔んだルーは、距離を保って舞台に足をつけた。


Γまだだ。」


指先に炎を遊ばせて、ルーは残酷な笑みを湛えている。


Γなあ、もっと酷いことを貴様はしたよな?」


私に向ける表情とは偉い違いだ。つい当たり前のようなつもりでいたが、ルーの私への甘い態度こそ奇跡に近いのだと、見ていて気づかされた。


Γ…ローレン、あまりにも酷いようなら私が止めるわ。」

Γ………さっきも似たようなことを、誰かさんに言われたよ。」


隠しきれない不安そうなローレンの声音。私はいつでも割って入れるように身構えて見守る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ