挑戦
Γえっと、私達、結婚しました。」
うわあ、なんか恥ずかしい!
赤い頬を隠しながら言ったら、ローレンは驚いた顔をしていたが、ゆっくりと笑みを浮かべた。
Γそっか、おめでとう。」
Γありがとう。」
近くのソファーに促されたので座ろうとしたら、ルーに腰を引かれ、彼の膝の上に座らされた。
Γ…………」
Γ…………」
振り返ったら、不機嫌なままで私の肩口に顎を乗っけている。
Γルシウスは、どうしたんだい?」
Γあー、気にしなくていいの。」
Γち!」
舌打ちするルーを宥めようと、私のお腹に回る手を優しく撫でる。
向かいのソファーに座り、ローレンは呆れたような顔をして私達を見ている。
すごい、初めて見た…あのルシウスが甘えてる…
と心で思っているのが聴こえる。
Γま、まあいいや。そっか、結婚祝いを用意しなきゃね。」
その言葉を待っていた私は、背中にルーを張り付けたまま、ずいっと身を乗り出した。
Γ実は…そのことなんだけどね。ローレン、私達をお祝いがてら雇って欲しいの。」
Γ…え?!」
Γ私とルーを、この国に仕える専属魔法使いとして…」
Γ………」
目を丸くするローレンをじっと見据える。
後ろのルーは、小さく諦めたように溜め息を吐く。
私がこの話を持ち出した時、彼は乗り気じゃなかった。なぜ自分が人間に仕えなければならないのかと不満気だった。
そうだろうと思う。一度信じた相手に仕えて酷い目にあったんだ。簡単には納得できないだろう。
Γでも働かないと生活できないよ。」
Γ今までなんとかしてきた。」
Γ犯罪はだめだよ。家庭を持ったんだから、真面目に働きたいの。」
Γ……お前が、またどこかへ行くんじゃないかと不安だ…」
Γうーん、一緒に働く?折角魔法使えるんだし、皆の為に…良いことに使いたいな。」
Γ……………」
Γね、ルー。この力があると、いろんなことができるね。私頑張るね。」
Γ……勝手にしろ」
Γうん。勝手に一緒にしようね!」
Γくそ…」
意識してにこっと笑えば、ルーは悔しそうな表情だった。夜、なぜ俺が…と不満たらたらにぼやきながらも、私をぎゅうぎゅうに抱き締めて一緒に眠ってくれたルーが、何だか笑えたのは内緒だ。
しばらく考え込んでいたローレンが、くすりと笑った。
Γ……いいよ。君達を迎え入れるのは願ったり叶ったりだよ。歓迎する…と言いたいところだけれど、まずそれには解決しないといけない問題があるね。」
Γうん。」
Γ殺した方が手っ取り早い…」
Γだめだって!」
面倒そうに言うルーの手を軽くぺちっと叩いたら、ローレンが顔を背けて肩を震わせて笑いを堪えていた。
Γミヤコ、ぶっ、すご…」
 




