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新しい朝5

ルルカ国王ローレンは、山積みの問題に溜め息をついた。

三ヶ月後に彼は、サラ王女と結婚して同時にグラディア国王に即位する。ルルカとグラディアは、平和的に統合されるのだ。それは両国の貴族の不満を増長させている。勿論ここまで幾つもの裏工作をしてきたが、人の感情を制すのは難しい。


結婚の準備に、政治的な移行と引き継ぎ、新しい王政における人員の調整などで会議は、ひっきりなしだ。

今は昼食の時間、と言っても書類に目を通しながら執務室で軽食を摘まんでいる悲しさ。


Γリュカめ」


つい悪態もつきたくなる。彼がいたら、まだ余裕があった。それなのに、謹慎を破り命令に背くから、今度は牢行きだ。何があったかは聞いている。今度は当分許す気はない。

何が腹立たしいか、それはリュカが自分を信じてくれていないことだ。常に綺麗な道しか歩かせないような感じで息が詰まるようだった。


Γ子供だからって見くびってばかりだ…うわあ!?」


物音に顔を上げて、ローレンは驚いて書類を落とした。


Γル、ルシウス?!」

Γ少し待て」


天井を見上げて腰を低く落とし、ルシウスが両手を前に出して構えている。


Γひゃあああ!!」


悲鳴を上げながら、数秒後に上から落ちて来たのはミヤコだった。


Γ下手だな。やはり一緒に翔んだ方がいい。」

Γ練習中なの。」


頬を膨らました彼女が、抱き止めたルシウスからこちらへ視線を向ける。


Γローレン、久しぶり。」


床に足を付けたミヤコが、にこっと可愛らしく笑うので、ローレンは椅子を蹴って立ち上がった。


Γミヤコ!」


駆け寄ると、腕を広げているミヤコの一歩前で見えない物にぶつかる。


Γあれ?!」


結界だろう。ぶつかった鼻を擦っていると、ミヤコがルシウスを睨んだ。


Γルー!」

Γこいつは子供でも、男であることに変わりない。」


彼女の咎める視線を流し、ルシウスはローレンを脅した。


Γ俺の妻に指一本触れてみろ。殺すぞ。」


つ、つま?妻?妻か!


言われた言葉を頭の中で反芻し、ローレンはだいぶ経ってから気が抜けたようにへらっと笑った。


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