あなたと3
Γあ、もういいから、痛…」
言う割には痛くない。ただ、恥ずかし過ぎて誤魔化したくて言った。息が上がって、体が震えてどうにかなりそうな変な感じ。癖のないルーの髪が顎にかかり、心臓が苦しい。
ようやく離れたルーは、私を見つめてぺろりと自分の唇を舐めた。
Γあ、えっと、んんん!?」
直ぐにルーの唇が、私の唇を吸い上げるように重なる。
膝から力が抜けて、よろりと後ろに一歩下がれば、強引に腰を抱かれてしまう。
唇を食べられるような錯覚。
Γはっ、んん」
角度を変えて貪られて、流されそうになってルーの襟元をぎゅっと握る。
そうだ、力を与え…
血を媒体に口移しで魔力を彼に渡しているはずの行為。
な、なにか違う。
そう思っている内にも、魔力が少しづつ体内からルーに流れていくのを感じる。
息も絶え絶えに、合図を試みる。
Γん、もう、はんぶ、やめ…」
Γは…」
Γちょ、ふ、あ」
離れた唇に安心したのも束の間、息継ぎのためだったらしく、再びキスされる。
Γん、も…」
両手でルーの顔面を押し退けると、はっとしたように動きがようやく止まった。
Γも、もう半分、だから」
荒い息をついて、彼から目を反らした。恥ずかしくて顔を見れない。
Γ……」
確かめるように自分の手を見てから、ルーは今度は私の額に軽くキスをした。
Γう…」
Γ悪かった。つい…」
そっと見上げようとしたら、体から急激に力が抜けて倒れそうになった。
Γミヤコ」
抱き止められて、ルーの胸に寄りかかった。
Γ…ねむい」
Γああ、俺もお前に力を渡した時はそうだった。」
そうか、力をあげたせい。それによく考えたらリュカと夜中から朝まで戦い続けたのだ。疲れがあって当然だ。
ああでも、まだ眠りたくないのに…
抱き上げられて、なんとか彼の胸の辺りの服を掴む。
Γ大丈夫だ、力はちゃんと受け取った。眠っていい。」
Γルー、そばに…いて」
Γああ」
目覚めた時に夢だったらどうしよう。不安なのに、まぶたが重い。
Γ…ルー」
Γずっといる。」
Γん…」
とうとう目を閉じた私に、ルーが囁く。
Γミヤコ、俺を愛してくれるのか?」
Γん…」
なんで今聞くかな。ちゃんと意識がはっきりした時に言わせて欲しい。
Γとても…愛してる」
ルーの嬉しそうに笑う気配がした。
何だか変わったね。
彼の胸の鼓動を聴きながら、私は眠りに落ちた。
起きたら、たくさん話したいことがある。




