指先に想いを2
殺されるかもしれないのに。
それなのに、私だけを見つめるルー。
Γうっ、ううっ!」
ダメだ!ルー、私はいつの間にか凄く欲張りになって…もっともっとあなたと…!
ぐっと砂を握りしめて、目を瞬間固く瞑る。
Γうく…!だめえっ!」
ガラスが割れるように拘束が解けた。
リュカの光の玉がルーめがけて飛ぶ。
考えるよりも早く、倒れたまま腕を伸ばした。
ガキッン
光の玉が、ルーの額の数センチ先で跳ね返り霧散する。
Γ何?」
直ぐに理解したリュカが、私を振り返る。ゆらりと身を起こして、私はリュカを睨んだ。
Γやめて!私を先に殺せばいい!」
Γ面倒な」
煩わしげに眉をひそめるリュカの前に、ルーがずいっと近付いた。
Γ…どうした?俺を先に殺るほうが簡単なはずだ。」
リュカがルーに向かって、三度ほど攻撃をする。 目を閉じもせずに、結界に霧散する様をルーは見届けて、リュカをぎっと睨んだ。
Γ貴様にとって、生かして危険なのは俺のはず。ほら…殺れよ」
自分に注意を引こうとするルーに、リュカが迷う素振りをみせた。ふっ、と余裕で笑うルーに、私は焦る。結界を張り続けているのは私だ。ルーをいつまで護れるか。ルーは人間で、リュカの攻撃にひとたまりもないのに。
Γダメよ!私からにしなさい!」
言った途端、ルーが抗議の目を向けてきたが無視する。
Γ私を殺さない限り、ルーの結界は破れやしない。リュカ、あなたが何度攻撃しても絶対にルーを護るから!」
Γミヤコ!」
今度こそ私に向いたリュカを見て、ルーが咎めるように名を呼ぶ。
ルーに応えるように小さく頷き、私はリュカを挑発してわざと顎を上げて笑った。
Γほら…、今の私になら勝てるでしょう?さあ…」
Γ………」
リュカが私を前に身構える。ゆっくり息を吐き、私も手に魔力を込める。
砂と血にまみれたワンピースに裸足。酷い格好だ。
魔法で、上に着ているカーディガンをするりと脱いで腰に巻き付ける。こんな時なのに、戦いの最中にめくれて下着が見えたりするのが気になる。
好きな人に恥ずかしい格好は見せられない。私にも女心があるらしい。
ルーの視線に頬が赤くなる。
Γ…ミ、ミヤ、コ」
私の顔を見ていたルーが、なぜか掠れた声を出して固まった。
Γ……余裕ですね。」
冷めた目をして、リュカが言った。