表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
143/207

生き方の選択3

評価、ブックマークありがとうございます。たくさんある作品の中で、見つけて読んでくださる皆様、ありがとうございます。執筆の励みになり、嬉しくて感激しまくりです!これからも頑張ります!

パキリ


魔法を込めた枝に、縦に割れ目ができた。

先から裂け始めたそれが、持っている辺りまで届いたと思ったら、木っ端微塵にバラバラに弾けた。

日に日に表に出せる魔力が増えた結果、枝が耐えきれなかったのだ。

魔力の放出が大きい為、庭から公園に場所を変え夜中に練習する毎日だった。

ルーの使っていた火と風は、かなり使いこなせるようになった。これが基本的な魔法。

召喚魔法は通常、異世界から特定の人を召喚者のいる世界に呼び寄せるものだ。以前聞いたリュカの話では、歴史上召喚されたのは私のみだと言う。

特定の人。つまり、リュカは予知で私を知っていたから召喚できたのだ。全く面識の無い者を呼び寄せることはできないのだ。

呼び寄せた者を逆に帰すことは、召喚してできた見えざる痕跡を辿れば難しくない。


一番難しいのは、召喚者が自分を違う世界に召喚すること。誰もしたことがなく、方法も定かではない。

だけど、私はそこから戻って来た。その痕を辿れば、可能ではないかと思う。問題は、私に召喚魔法を成功させるほど、力を操れるかどうか。やり方は、魔法を受け継いだ時に自然と身に備わっている。

練習で、魔力の調整はかなりできるようになった。


ヘトヘトに疲れた体でベンチに座る。


Γ……ルー、どうしてるかな」


不安でいっぱいだ。おそらくリュカに捕まっている。ただ、リュカの性格を考えると命を奪うことはしない気がする。信じているわけではない。彼を見ていて、実はルーを憎んでいるのではないと気づいたからだ。国とローレンの為、不安要素を取り払いたかっただけなのだから。


拳を額に付けて、目をつむる。


ごめんね、ルー。人間だった私は臆病で馬鹿で、あなたを傷付けてしまった。今逆の立場になってわかった。怖かったのは自分の方だ。ルーに寄り添えず置いていくことが怖かった。

ルーの想いから逃げて、楽になろうとした身勝手さが恥ずかしい。

彼を最期まで想い抜く覚悟も、一緒に未来を生きる意志も、彼を目一杯幸せにする度胸もなかった。私に無くて、ルーにはあったものが、今はよく見える。

何よりルーが、どれ程の愛情を与えてくれたのか、今のこの状況が証明している。

だから、ルーに逢いに行く。

ちゃんと前を向いて、ルーに気持ちを伝えて……

それから、いつもの悪戯っぽい笑顔が見たい!

抱き締めて……寂しくないように今度は寄り添って…それから……


Γ逢いたい……!」


ルーの魔力を受け継いだ方法を推測した時、ある可能性に思い至った。それが可能であったなら、私もルーも必ず幸せになる。

どちらかが苦しむ未来は要らない。


召喚魔法を実行する。たった一度きり。これだけは本番あるのみだ。


その前に私にはやらなくてはいけないことがある。満に言われたこと。家族に打ち明けて、許しをもらう。

考えただけで、緊張が走る。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ