生き方の選択3
評価、ブックマークありがとうございます。たくさんある作品の中で、見つけて読んでくださる皆様、ありがとうございます。執筆の励みになり、嬉しくて感激しまくりです!これからも頑張ります!
パキリ
魔法を込めた枝に、縦に割れ目ができた。
先から裂け始めたそれが、持っている辺りまで届いたと思ったら、木っ端微塵にバラバラに弾けた。
日に日に表に出せる魔力が増えた結果、枝が耐えきれなかったのだ。
魔力の放出が大きい為、庭から公園に場所を変え夜中に練習する毎日だった。
ルーの使っていた火と風は、かなり使いこなせるようになった。これが基本的な魔法。
召喚魔法は通常、異世界から特定の人を召喚者のいる世界に呼び寄せるものだ。以前聞いたリュカの話では、歴史上召喚されたのは私のみだと言う。
特定の人。つまり、リュカは予知で私を知っていたから召喚できたのだ。全く面識の無い者を呼び寄せることはできないのだ。
呼び寄せた者を逆に帰すことは、召喚してできた見えざる痕跡を辿れば難しくない。
一番難しいのは、召喚者が自分を違う世界に召喚すること。誰もしたことがなく、方法も定かではない。
だけど、私はそこから戻って来た。その痕を辿れば、可能ではないかと思う。問題は、私に召喚魔法を成功させるほど、力を操れるかどうか。やり方は、魔法を受け継いだ時に自然と身に備わっている。
練習で、魔力の調整はかなりできるようになった。
ヘトヘトに疲れた体でベンチに座る。
Γ……ルー、どうしてるかな」
不安でいっぱいだ。おそらくリュカに捕まっている。ただ、リュカの性格を考えると命を奪うことはしない気がする。信じているわけではない。彼を見ていて、実はルーを憎んでいるのではないと気づいたからだ。国とローレンの為、不安要素を取り払いたかっただけなのだから。
拳を額に付けて、目をつむる。
ごめんね、ルー。人間だった私は臆病で馬鹿で、あなたを傷付けてしまった。今逆の立場になってわかった。怖かったのは自分の方だ。ルーに寄り添えず置いていくことが怖かった。
ルーの想いから逃げて、楽になろうとした身勝手さが恥ずかしい。
彼を最期まで想い抜く覚悟も、一緒に未来を生きる意志も、彼を目一杯幸せにする度胸もなかった。私に無くて、ルーにはあったものが、今はよく見える。
何よりルーが、どれ程の愛情を与えてくれたのか、今のこの状況が証明している。
だから、ルーに逢いに行く。
ちゃんと前を向いて、ルーに気持ちを伝えて……
それから、いつもの悪戯っぽい笑顔が見たい!
抱き締めて……寂しくないように今度は寄り添って…それから……
Γ逢いたい……!」
ルーの魔力を受け継いだ方法を推測した時、ある可能性に思い至った。それが可能であったなら、私もルーも必ず幸せになる。
どちらかが苦しむ未来は要らない。
召喚魔法を実行する。たった一度きり。これだけは本番あるのみだ。
その前に私にはやらなくてはいけないことがある。満に言われたこと。家族に打ち明けて、許しをもらう。
考えただけで、緊張が走る。




