予知のその先(ルー視点)5
鍋の中に綺麗な雪を入れて溶かし湯になったところで、塩漬けして乾燥させた肉を細かく千切り、日持ちする根菜を小さなナイフでスライスして一緒にいれる。味付けは薄目だが、肉から出る塩気と肉の旨味で大丈夫だろう。
火加減を調節しながら、じっくり煮込む。
その間、胸ポケットからイヤリングを取り出すと、しばらく手のひらに転がして物思いに耽っていた。
Γぬ……?」
老人が目を覚ましたようだ。
キョロキョロしているのを見て、イヤリングに口づけを落としてそっとしまう。
Γあんた、助けてくれたのか?」
囲炉裏の向かい側に座る俺に、横になったまま老人が気づいた。
Γ……………」
Γあんた…」
起き上がった老人が、目を細めてじいっと俺を見つめたまま、じりじりと這いながら近寄ってきた。
Γ……黒髪に黒目か?ほお、珍しい、うぎっ」
Γ近付くな」
気持ち悪い至近距離に、シワシワの顔を足蹴にする。
Γや、すまんな。魔法使いなんぞ滅多にお目にかからないもんでな。」
顔を手で拭きながら、足蹴にされたことも気にせずそう言うと、座り直した老人は火である程度乾いた服を着直した。
Γそれで、なんでこんな所にいなさる?魔法使い……」
Γ…………」
Γええと…誰かいな」
少し考えるように腕を組んでいた老人が、ポンと手を打った。
Γわかった、リュカ様!!」
Γ……やっぱり死んでおくか?」
手元のナイフを見る俺に、老人はあれ?違ったかいな?とへらっと笑った。
老人が抉ります。