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予知のその先(満視点)

満視点です。

姉ちゃんが次に目を開けた時、その目が黒だったことに俺はほっとした。


Γ都!」

Γお父さんお母さん、ごめんね。」


心配する両親に、姉ちゃんは申し訳なさそうに謝った。


Γ怪我もないし、目の前で事故を目撃したショックで倒れただけでしょう。自宅でゆっくり休めるなら退院できますよ。」

Γありがとうございます。」


父と母が、ベッドに座る姉ちゃんを抱き締めるようにして医者にお礼を言った。

医者と替わるように、二人の警察官が入ってきた。病室の前で待っていたようだ。


Γ都さんと満君、事故処理の関係で少し質問があるんだけど、今大丈夫ですか?」


姉ちゃんが両親に大丈夫だと頷くので、両親は気を使って一旦病室を出ていった。


Γええと、満君、君は信号待ちをしていて乗用車に轢かれそうになったけれど、どうやって回避したんだい?」

Γどうって…」


もう一人が、言いにくそうに補足する。


Γ満君を轢きそうになった運転手がね、その、乗用車が急に止まったって言ってるんだ。浮いた状態でね。」

Γ………後ろにいた姉が、引っ張ってくれて助かったんです。車は…ブレーキがきいたから止まっただけで、運転手の人はかなり焦ってたから浮いたように見えたんじゃないんですか?」


聞かれたら、そう答えようと思っていた。ちゃんと動揺せずに言えた。


Γそう、だろうね。ありがとう。無事で良かったね。」


警察官は納得したように頷いた。


Γもう一つ、都さんに聞きたいのだけれど」

Γはい。」


姉ちゃんは、緊張しているみたいだ。布団をぎゅっと握っている。


Γ何人かの目撃者が、君が救助にあたろうとしているのを見ている。」

Γはい。」


姉ちゃんが、俺をちらりと見る。


Γ……私はただ運転手の人が心配で慌てて覗いて、そのまま気絶しちゃっただけです。」

Γ目撃者の話では…」

Γ何も、何もしていません。」


固い声でそれだけ言うと、姉ちゃんは黙った。


Γ姉は、まだショックみたいで、すみません。」

俺が咄嗟にそう言うと、警察官の一人は、何かまだ言いたそうにしていたが、もう一人は早く終わらせたいみたいで、もういいだろうと彼を促した。


Γ……そうでしたか。お手数をお掛けしました。お大事に。」

Γありがとうございます。」


警察官が出て行って、俺は姉ちゃんと病室に二人になった。


Γ……ありがと、満。」


先に口を開いた姉ちゃんは、口を引き結んで落ち着いた表情だった。


Γちゃんと話してくれる?」


ゆっくり頷く姉ちゃんは、何だか遠い存在のように見えた。



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