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結末の果て

Γカリーザ領地は大半が焼けましたが、事前の勧告により死傷者は最小限に食い止めました。ただ残念ながら、館に集まっていた領主ジーク以下有力貴族が亡くなりました。また領主には跡継ぎがいないため、法により領地は王室に返還となり直轄地となります。」

Γそうだね。」


椅子をぐらぐら揺らしながら、ローレンは向かいにいるリュカには目をくれず、窓の外を見ている。


Γ被害の調査中に、館から亡くなった領主と貴族達との間で交わされた書簡を入手しました。そこには陛下へのクーデター計画の概要が記されていました。」


リュカが手元から何通もの手紙の束を机に置く。

ちらりと見て、ローレンは鼻で笑った。


Γ焼けもせず残っていたと?」

Γはい。ですが、我々が手を下さずとも彼ら自身の死去により計画は…」


椅子から跳ぶように立ち上がったローレンは、いきなりリュカの顔をぶった。


Γぬけぬけと!」

Γ……すべては、あなたとルルカのため。」


ひざまずくリュカを見下ろし、ローレンは拳を握った。


Γそうだとしても、ミヤコを利用した。」

Γええ、最初からそのつもりで召喚しました。傷つけはしましたが、無事に元の世界に帰ることは予知でわかっていました。」


ぶたれた頬の赤みが消えて、リュカは淡々と話す。


Γ私はルシウスを仇である以上に、ルルカを脅かす者としていつか排除すべきものだと考えていました。過去のルルカ侵攻の折り、私は手も足も出ずにみすみす国を征服されかけました。あの男が、リリアの洗脳を解いたとしても、どうして安寧にしていられましょう。1000年近くも生きる魔法使いが、いつか気まぐれに国を滅ぼさないとも限らない。40年前に、私はルシウスを捜しだし抹殺しようと挑みましたが、失敗しました。その直後、この予知を視ました。」

Γ皮肉なことだね。」


リュカを睨んだまま、ローレンは呟いた。


Γつまりルシウスは、ミヤコに自らの血を口移しで与えたことで力を無くしたんだよね。」

Γええ、ですが相手に愛情を持っていなければ、力は与えられませんでした。」

Γ惹かれ合うことも、予知の内だと?」


頷くリュカに、ローレンは眉をしかめて不快感を露にした。


Γルシウスは、人を愛せる感情ある男だった。そんな奴がどうして国の脅威になる?リュカの予知によって、僕は逆に彼を知って親しみを感じるよ。」

Γローレン様。現にカリーザ領は焼失したのですよ。」


無表情に事実を述べるリュカとは、どこかで相容れない。


Γそれは…彼のせいだけかい?あー、平行線だね。」

Γそうですね。傍観していた貴方も、この結果にどこかで満足しているのでしょう。」

Γ…望んだわけじゃあ…もういい。」


埒が明かないと感じて髪をくしゃりと掻いて、ローレンは再び椅子に座った。


Γそれでルシウスをどうする気だい?」

Γ考え中です。どうしてやりましょうか…」


冷たい微笑に、ローレンは顔を曇らせた。






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