あなたに笑顔を4(ルー視点)
窓さえ無く薄暗い地下牢。一つだけのランプの灯りの中、リュカは静かに話していた。
Γ砂漠地帯の国々では、魔法使いの体の一部を持っていると幸運になるとか言われていますが、これはあながち迷信ではないのです。まあ、私も予知で初めて知りましたが…」
Γ……」
Γ重要なのは、魔法使いの血。与える相手も同じ色彩の髪や目でないと効果はないので、この世界では不可能でした。彼女を召喚したのは…その条件ともう一つ」
一歩近寄り、リュカは表情を窺った。
Γ与える魔法使いが、彼女を心から愛して我が身を犠牲にすることも厭わないことが必要でした。あなたは私が最初に彼女を島に召喚した時から、既に私の思う通りに動いていた。最高の魔法使いは、この世界から消えた。」
ふっと微笑み、リュカは少し首を傾いだ。
Γそれで…どうですか、人間になった気分は?ミヤコに、力と殆どの命を授けた気分は?」
手のひらに、片方だけのイヤリング。
彼女が残した唯一の痕跡。
そっと握り口許に当て、目を閉じた。
ミヤコは生きている…
胸の痛みは尽きないが、それだけで充分。他でもないあいつにならくれてやろう。
あとはどうでもいい。
壁にもたれ、イヤリングに唇を寄せ、俺は笑った。
 




