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分岐点3

ドーム型の高い天井。壁の高い位置に小さな四角い窓が一ヶ所だけ。

そこから注ぐ光を顔に受けて、私はぼんやりと冷たい石床に横になっていた。

時間の感覚がわからない。昼ぐらいだろうか。

ここはどこだろう。

どこだって、いい。リュカの手を取ってしまった。もうどうでもいい。


Γふ、う…」


ひりひりする目尻を、また涙が流れた。

痛い…

泣き腫らした目も、あの人が残した胸にある痕も、その中の心も酷く痛い。

終わったんだ……


もう諦めたに違いない。愛想を尽かしただろう。嫌われるようなことをしたんだ。もしかしたら憎まれてるかもしれない。

自分のしたことが、正しかったとはいえない。ルーを傷つけて拒絶した。

でも、必死だった。今ならまだ別れられると思ったから。

大丈夫。辛いけれど時が経てばその内に、ルーも私も出会う前の生活に戻るはずだ。

ただ、ルーが孤独でなければいいが。

長い生の中で、いつかレオ君のように、新しい魔法使いが現れることがあるかもしれない。

彼と人生を対等に歩める伴侶に出会う可能性だって皆無じゃないはずだ。


少なくとも人間の私では、釣り合わない。

夢を見たんだ。甘い夢を…

馬鹿な私。今頃気付くなんて……


広い部屋の奥の扉が開く音がした。かつんかつんと足音がする。

私はとても疲れていて全てに投げ遣りだったので、ずっと天井を見つめて動かなかった。


Γミヤコ、あなたをこんな所に閉じ込めて申し訳ない。ここは我が領地で、私の屋敷の敷地に造らせた離れの建物です。」


私を上から覗き込むようにして言うのは、カリーザ領主のジークだった。


Γリュカ殿の言うには、ここに数ヵ月に渡り何重にも結界を張っており…」


ジークの話に興味がない。考えることができなくて、話が頭に入らない。

ジークは、そんな私を見て話を止めた。

そして、私の頬を撫でてきた。


Γルシウスのことを思って泣いているのですか?」


彼の名に反応して、またぽろっと涙が落ちた。

困ったような表情のジーク。私の頬を撫でる手が背中に回り、私は上半身を起こされた形で抱き締められた。


Γミヤコ、また会えました。」


嬉々とした声音に、嫌悪が走る。

人形のように表情を変えず涙だけを流す私を、ジークは満足そうに見つめて、首を舐め上げた。

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