祭のあと9
Γ泣くな」
ルーの指が、私の涙を何度も拭う。
Γもう泣くな」
頬の涙を唇で吸い、髪を撫でる。
酷く傷つけたのに、それでもルーは優しい。
涙は絶え間なく流れるけれど、私の嗚咽が鎮まるのを待って帯がシュルと解かれた。
顔を隠そうとしたら、その腕をやんわりと取られた。私の指に触れたルーが、瞬間痛そうな顔をした。そして直ぐに手を離すと、誤魔化すように私の唇を求めた。
Γんっ…」
舌を絡める深いキスをしながら、片手で自分の襟元を開き、私の首から胸のボタンを外していく。
唇が離れたと思ったら私の背中に手を回して、自然のけ反る首筋を吸われる。
そのまま首からボタンの外された胸元へと、唇がゆっくりと下りる。膨らみに温かな唇を感じて、身動ぎする。
Γあっ」
そっと前開きの衣装が左右に開かれ、胸を隠していた下着が取り払われる。視線に耐えられず顔を反らすと、彼の息を呑む気配に更に熱くなる。
壊れ物を扱うように触れられ、目を瞑り唇を噛む。
次第に熱を増す愛撫に、靄がかかったようで何も考えられない。
Γは…あ…」
無意識に洩れた自分の声の甘さに驚く。
肩や首、胸へと幾度もキスを落とし、甘く噛み、肌を這っていた唇が私の胸の間、心臓の位置で止まった。
ふいに痛みが走った。ルーがそこを強く吸う。
Γあ!んうっ」
しばらくして赤く染まった肌からようやく唇を離し、ルーがそれを見つめる。
Γ…ミヤコ、俺のものだ。」
熱っぽく呟かれたその言葉に、我に帰る。
ふっと両手を上に伸ばす。ぎこちないその手を、ルーは黙って見送る。
Γっ!」
私は両手に力を込めて、思いっきり彼の肩を突き飛ばした。ほぼ同時に体を捻ったら、服を絡めたままベッドから落ちた。
Γあっ…」
落下の衝撃よりも強い喪失感に襲われた。
ルーが本気を出したら、非力な私が逃げられるわけがない。
服を抱えて壁に背中をもたせて、ふらりと立ち上がる。
俯いて動かないルー。
最後に私を放してくれた。




