表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/207

すぐにサヨナラ?2

夕食を作るのは、さすがに手伝った。

…と言っても、配膳とかだけど。

切って、味付けして、炒めて…

無駄の無い動き。

テキパキと調理する彼は、一流の料理人のようだ。

「すごい慣れてるね。」


邪魔にならないよう、台所の隅に控えていた私。

話しかけたくても、今はムリかなと思っていたら、なぜかタイミング良く私を振り返り触れてくれた。


感心しきりで、

「料理歴長いの?」

と聞いたら、


「確か50年ほどだったか。料理を始め出したのは。」


と、何喰わぬ顔でのたまった。


「はい?50?!」

「…ああ。」


ふっと笑い、ルーは言った。


「俺は、59歳になる。」

「はい?え、ええー、はい?」

「しつこいぞ。」


茫然とする私を放って、再び背中を見せる彼を見た。

すっと背筋の伸びた凛とした佇まい。

無駄の無い引き締まった細身の体。

若く整った顔つき。

10代終わりぐらいか20代始めにしか見えない。そうか、魔法使いって不老なのか。凄い、ファンタジー!

でも、50年って…

短くはない時間。


ずっと一人だったのかな?料理を作ってくれる人いなかったのかな?

寂しくなかったのかな?

ルーは、拾った私のことどう思ってるのかな?


明日、私が元の世界に帰ったら、ルーはまた一人になるのかな?


*****************************


夕食の後、お風呂を使わせてもらった。ワンピースを脱いで、わざわざ買ってくれたルーに申し訳なさが募った。

私、こんなに世話を焼いてもらっといて御礼もできていない。


シャワーだけのお風呂だったけど、お湯が普通に出た。湯上がりに聞いたら、地下にある湯脈から引いてるそうだ。

おそらく魔法を使って引いたんだろう。そういえば、台所ではガスコンロのように火が普通に使えた。あれも魔法だった気がする。

私の知るゲームの中の魔法とは違う。ルーは呪文を唱えたりしない。まるで呼吸するように魔法を使っている。不思議だな。

いや、でももうここから去る私には考えたところで詮の無いことか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ