祭のあと4(ルー視点)
Γ俺を呼んだか?領主。」
案内された部屋に入ると、領主は机に両手を置いて笑みを湛えていた。
Γ祭の処理で忙しくてね、貴方と早く話をしてみたかったのだが時間が取れず、失礼した。」
Γ俺が誰か知っているな?」
深く頷く領主は、それでも落ち着いている。
Γ勿論です。私の頭がぼやけてなければ、今この世界には魔法使いは、二人…いや、一人増えて三人でしたか?」
Γ情報が早いな。」
レオが加わったのは、ついこの間だ。
この領主、なかなか遣り手のようだ。
Γ色々、耳に入ってくるもので。召喚された少女のこと、リュカ殿の予知のことなどを聞いておれば、自然貴方が誰かはわかることです。最高の魔法使いルシウス殿。」
Γ知っていて、平然としているな。」
Γ情報は信じますが、見て感じることも大事にしておりますから。」
恐れもせずに領主は俺を真っ直ぐに見返した。
Γくくっ、稀なる人間だな。」
Γそれは、あの娘もそうなのでしょう?ですが、なぜ人間である彼女と一緒にいるのですか?」
純粋な興味ではなく、微かな咎めるような響きを感じる。
Γ共にあることを望んだからに決まっている。」
Γ予知では、貴方は彼女に…」
Γそれでもいい。ミヤコになら俺の命をくれてやる。」
それを聞くと、領主は机に視線を落とした。
Γ我々が崇めるシノール様も、かつては人間の女を愛されたそうです。そして…」
Γ知っている。」
この年寄りは、親切にも警告を俺に与えようとしている。だがそれは、余計なお世話だ。部外者が口を挟むことではない。
Γその女のように、例えミヤコが俺を残しても、俺はそれまでの時を必ずミヤコと共に生きる。絶対に放さない。もう決めたことだ。」
Γ……ルシウス様」
悲しげに領主は俺を見つめた。そんな風な表情をされることは、癪だ。
はっ、と逆に嗤ってやった。
何がいけない?
今、俺は孤独ではない。手に入らないと諦めていた存在を、俺は得た。胸が焦げるような熱と歓びを知った。
だから、充分だ。
未来など知ったことか。俺はΓ今」幸福を享受しているのだから。
好きなればこそ




