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私が魔法使いになるまで
体がふわふわと揺れている。
力が入らない。 瞼が重い。
私どうしちゃったんだろう?
近くで水音が聴こえる。川?だろうか…
「……。」
僅かに開いた瞼の隙間、見えたのは夜空。
ああ、星が綺麗だ。こんなにたくさんの星を見たのは、初めてかもしれない。それは深い闇があるから見える夜空。
夜の冷気がひやりと寒いけれど、気持ちいい。
なんだろ?夢の中かな…。
寒いのに、片方の頬には暖かさを感じる。
すり、と頬を押し付けたら、体の揺れが一時止まった。
深い吸い込まれそうな夜空。
まだ、見ていたい、のに…。
再び重くなる瞼が、 辛い。
ゆらゆら揺れる体が、余計に眠りを誘って…
そこから完全に意識を手放していた。