Firstー2
「あっ、稟!叫んでる暇じゃないよ!薬をお母さんの所にもって行かないと」
「はい!?」
まって!夏に雪っておかしいでしょ!何で、とか思わないの!?私が呆気にとられている間、お姉ちゃんは近くに落ちてたビニール袋を確認する。
「これ、買ってきたやつよね?」
私が、うんともすんとも言わないままお姉ちゃんは袋を持って家に走って行った。
「お姉ちゃん…?」
「早く家に戻ってきなー!」お姉ちゃんはそのまま家のドアを開けて入っていった。これは放置という他の何ものでもない。…さすがにひど過ぎません?
私はお姉ちゃんのいう通り、すぐ家に戻ることにした。
なんでかっていうと、お姉ちゃんが急ぐ理由が手にとるようにわかるからだ。私達のお母さんはそれはそれは怖い人で、お父さんは優しい人だけれどお母さんのおかげで私達の家は厳しい。1番厳しいのは時間にたいして。決められた時間にやることを終わらせないと、その後恐ろしいことが待っている。恐ろしいことは恐ろしすぎて言えないけどね。
家のドアに手をかける。その時信じられないことがおきた。ドアはガチッて音がして開かない。
「えっ…!?」
もしかして鍵をしめていっちゃった?何度ドアのとってをひいても押しても開かない。実はお姉ちゃん、結構ぬけてて天然なんだ。ドアを叩いても呼んでも、誰かが来る気配がない。
「…しょうがない、違う所からはいるしないね。」
私はあきらめて家の隣にいるお母さんが、運営していう占いのお店から入ることにした。
お母さんは予知能力があるという噂がある。実際には私は占ってもらったことがないからなんとも言えないけど。ここは商店街の外れにあるのに、結構お客さんが来るから本当らしい。私は呼び鈴を5回鳴らす。すると、指紋と声を確認する機械が出てくる。田舎町なのに家よりセキュリティがすごい。
「なんでこんな無駄遣いしてるんだろ…」
ため息まじりに私はぼやいた。
お母さんの目の前だと、怖くて言えないからこうやってぼやくしかない。
指紋の確認が終わって私は『ウラナイノヤカタ。
』とはっきりと言う。
そこで店のドアが開く。
でも、これだけじゃ店の中に入っただけで家の中には入っていない。
店の中は丸いテーブルとテーブルの回りに対象的な二つの椅子が置いてある。その奥にはかなり大きくて古い本棚がある。ラストは暗証番号を入力しなくちゃいけない。暗証番号といっても本の並びかたなんだけど、これが結構やっかいなんだ。本の並びかたは数種類あってそれが毎回ランダムに変わる。めんどくさくてしようがない。
「えーっと……」
最悪…。私が覚えてる本の並びかたは全部してしまった。あれから時間は30分すぎて、私はお手上げ状態。
「他にもあったっけ〜?」
椅子に座って一息つく。と、テーブルの上に紙が置いてあった。
「あれ、さっきあったっけ?」
紙を開いて確かめるとそこには、『新しい本の並びかた』と書いてあった。今までの苦労が水の泡になった瞬間だった。