First 歯車が回る夜
この話は冒険あり恋愛あり友情ありの長編ファンタジーになります。いや、なるはずです!文章力がないのでどうなるかは保証できませんけど、おもしろい作品になるように頑張って書こうと思っています。更新はゆっくりになると思います。
今日はなんだか心臓がドキドキしてる。だっていつもと違うのだ。深夜に外出るなんてできない。
私の住んでる町は、あんまり都会じゃない。だから今通ってる商店街の道は街灯だけで他の明かりはほんどない。昼間は栄えているから昼と夜とは全然印象が違う。私の夢とは全然違うけど、真っ暗な道を歩いていると何か起きるんじゃないかってドキドキする。
私の夢はドキドキする不思議な冒険をすることなんだ。
大人がそれは無理だというのがわかるでしょ?私の小さい時は『できるといいね』って言ってたくせに中学卒業するときには『もう夢なんて見るな』って言われた大人って薄情だよね。言うのはいつもお母さんのお兄さん。私のおじさんだよ。お母さんとお父さんはいつも苦笑いしてて何も言わない。きっと心の中でおじさんと同じことを思ってるんだろうけど。
あ、話を戻さないと。
いつもなら深夜になんか私は外に出ない。
理由はさっきの話しに出てきた私のお母さんが急に倒れたからなんだよ。いつもは元気で小姑かってくらいうるさいお母さんだから倒れるなんて珍しい。きっと明日は夏なのに雪が降るんじゃないかって思うくらい。家の薬は調度切らしててないから、夜でも開いてる少し離れたコンビニにわざわざ行ってきた。あとは、この角を曲がってすぐ私の家に着く。
右手に薬の入った袋を揺らして曲がる。いや、曲がる途中に大きくて黒い物体が私の前に来てドカンッと勢いよく覆い被さるようにぶつかってきた。
「わっぷ!」
バランスを崩した私は、コンクリートの角に頭をぶつけてそのまま記憶が途切れた。
知り合いの家を訪ねたけれど、呼び鈴を鳴らしても出て来ない。それに、電気が点いてなくて誰もいない様子だった。家の隣でやっている占いの店も、夜だから開いていないのは当たり前だけれど臨時休業しますという紙が入口に張り付いていて開いてなかった。
「これじゃぁなんで急に俺が呼ばれたのかわかんねぇな。」
ため息をついて家から離れる。本当に意味がわからない。緊急で遠くまで飛んできたのにむだ足になってしまった。
俺が角を曲がってそのまま飛ぼうとした時、いきなり人が出てきた。そいつは俺より背が低くて、気付くのが遅れた。
「わっぷ!」
俺にぶつかった後すぐに角のコンクリートにもぶつかって倒れやがった。ゴンッと嫌な音がした。
「げっ……」
死んでねぇよな?この時間はいつも人いないから油断した。俺は急いで倒れた人を仰向けにして呼吸を確かめる。どうも小さいと思ったら女で、この頑丈な女は生きていてゆっくりとした呼吸音が聞こえる。
「焦らせやがって………ん?」
この女どこかで見たことがある気がする。気のせいか?腰まである長い茶色の髪の毛で遠目から見ると一見綺麗に見えたけれど、どこにでもいそうな顔立ちだろう。少し幼いから高校生ぐらい…何で深夜に高校生が出歩いてんだよ。ため息をついてそのまま離れていくことにした。この女が気がついたら、めんどうになるからそれが一番適切。
「んっ…」
女が息をもらして少し動いた。もうすぐ起きるな…俺は急いでここから離れた。
頭がぼんやりして働かない。さっき何があったっけ?体を起き上がらせる。頭が痛い。
「イタタタタァ…」
なんで深夜なのに誰か外にいたんだろ。ほとんど夜中は人が出歩かない場所なのに…
「稟!」
家の玄関からびっくりした様子でお姉ちゃんが走ってこっちに向かってくる。うん。その急いでいる気持ちはわかるよ。でも、空回りして足がからまってふらふらしてる。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「り、稟!道路で何で、横たわってるの?」
「え…?」
私の横にやっとの思いで着いたお姉ちゃんは、混乱したように言う。そういえばぶつかったのって誰だったんだろう?周りを見渡しても誰もいない。女の子一人残すってどんな神経してるんだよ。
「さっき、人にぶつかっちゃったみたいでさ。なんともないから平気だよ。」
「そ、そう。」
「なに?どうしたの?私なら大丈夫だよ。」
まだお姉ちゃんは慌ててるような、なんか困ってるような。私はこれ以上心配させないように立ち上がる。
「ねぇ、稟。頭の上に雪っぽい白いのがのっかってるよ…」
「へっ!?」
今までの中で一番間抜けな声が出た。雪!?なんで真夏なのに、雪が頭の上にあるとかおかしい!頭を触ると、お姉ちゃんが言った通りに冷たい感覚があって、手にのせてみると白いのが水になっていった。
「えぇぇええええ!?」