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遊具の上で

 私は、隣に座る幼馴染みの男性に話しかけた。


「ねぇ。花火、綺麗だね」

「そうだね」


 私が言うと、彼は微笑みを浮かべて答える。


 それなりの背丈に、あまり格好良くはない顔。


でも、私が好きな人。


 今、私たちがいるのは緑地公園だ。

 それも、昼間の。


 公園の中にある木陰のベンチで、暑さしのぎの為に座りながら、私たちは話をしていた。


 もちろん、こんな昼間に花火なんか上がっていない。

 花火が上がるのは、今日の夜だ。

 ……そして私たちが、それを一緒に見ることはない。


「ここからじゃ、上半分しか見えないけど」

「でも、綺麗だ」


 はたから見れば、バカみたいなやり取りだろう。

 それでも彼は答えてくれる。


 この、ごっこ遊びに。

 昔の記憶を辿る、ただそれだけの遊びに。


 もう、戻れない二人の関係を、記憶を、私たちは一つ一つ辿っていく。

 あの花火は、まだ、幸せだった頃の思い出。


※※※


 私が彼と初めて会った時、私たちはまだ小学生だった。


「ねえ、何してるの?」


 私は、彼に話しかけた。


 家の近所にあった雑木林は、ちょっとした散歩道になっていて。

 その道の途中に、ぽつんと広場があった。


 そこには、木のような形をした、滑り台とアスレチックが一緒になった遊具が一つだけ置かれていた。


 遊具の、木の枝にあたる出っ張り。

 そこに腰掛けた彼に、私が声をかけたのだ。


 理由は単純。

 その遊具の出っ張りが私のお気に入りの場所だった事。

 出会った日、私はそこに座る為に、わざわざこんな所に来たからだった。


 広場は、あまり人がいない。

 周りが林だから虫が多いし、すぐ近くに大きな公園があるせいだ。


 友達は嫌がるが、私は別に虫は嫌いじゃないから、図書館で借りた本を読む時はいつも、そこに座って読んでいた。


 別に何もしていないなら、退いてほしかった。

 しかし、私の問いかけに対して、彼は素っ気なかった。


「別に、俺が何しててもお前に関係なくね?」


 彼は、私を見下ろしてそう言った。

 すごくムッとした。


「関係あるわよ。そこ、私の場所よ」

「誰が決めたんだよ」


 言われて、言葉につまる。


「……私だけど」

「じゃあ、今この場所は俺の場所だから。分かったら、どっか行けよ」


 そうして、彼はそっぽを向いた。

 私はとても悲しい気分になって、うつむく。


 せっかく楽しみにしていた本を、読もうと思って弾んでいた気持ちが、しょんぼりと沈んでしまった。


 ……もう、おうち帰ろうかな。


 ちょっと泣きそうになりながらそんな事を思っていると、盛大なため息が聞こえた。


「分かった?」

「え?」


 再び顔を上げると、ちょっと怒ったような、彼の顔があった。


「自分の場所だと思ってたのに、って、すげーイヤな気分になっただろ?」


 言われて、思わずうなずく。


「俺だって、ここは俺の場所だと思ってたの。お互いにイヤな気分になったから、おあいこな?」


 言いながら、彼は遊具の出っ張りを、ぽんぽん、と叩いた。


「来いよ」

「え?」


 私は、間の抜けた顔をしていただろう。

 そんな私に対して、彼はなぜか、ちょっと困ったような顔で言った。


「別に、二人座れんだから、二人で座ったら良いだろ。邪魔しねーしさ」


 言われて、私は少し迷ってからおずおずと遊具に登り、彼の横に腰かけた。


 自分の宣言通り、彼は特に私の読書を邪魔などする気はないようで。

 ぼーっと前を向いて、代わり映えのしない景色を眺めている。


 私も、ぱらっと本を開いて読んだ。

 不思議に、彼のことは気にならなかった。


 それからもたまに、私は彼とそこで出会った。

 会っても特に話すこともないまま、ただ並んで座って、彼は景色を眺め、私は本を読んだ。


※※※


 中学に上がって、私はあの広場にある木の形の遊具には行かなくなった。


 理由は特にない。

 新しい生活に慣れるのに必死で、いつの間にか忘れていた。


 そんな風に数年が過ぎて、また広場に顔を出したのは偶然だった。

 私は本屋で買った本を片手に雑木林の横を通りかかり、ふと、そういえばあそこでしょっちゅう本を読んだな、と思い出したのだ。


 受験勉強に疲れて逃げたくなっていたのもあり、私は遊具に向かった。

 すると、そこに彼がいた。


 背が伸びて、着ているのが私服から制服に変わっていた。

 格好良く……はなっていなかった。

 普通だ。


 ただ、相変わらずだったのはそこに座っている事だけで。

 彼は少し寂しそうに見えたし、手には単語帳を持っていた。

 同い年だったのかな、と、近所にある別の中学の制服を見て思った。

 彼の制服の緑のタイは、塾で見かける三年の子と同じだったから。


 懐かしさを覚えて、私は口を開いた。


「そこ、座って良い?」


 声を掛けると、彼は驚いて顔を上げた。

 まじまじと私の顔を見て、固まっている。


「えーと、久しぶり?」


 手を振ってみると、彼はまばたきをして、ああ、と声を漏らした。

 どうも、私だと気づいてなかったみたい。


「狭いぞ」


 言われて、むむ、と私はうなった。

 確かにお互いに体も大きくなったし、遊具の枝の上は並んだら体が密着してしまう。


 それは、ちょっと恥ずかしい。


 すると彼は、私の反応にため息を吐いて、遊具の枝から飛び降りた。


「俺、下に座るから。お前使えよ」

「え、良いの?」


 彼は無言でうなずき、枝の下あたりに腰掛けて単語帳をめくり始めた。

 私は少しためらったが、せっかくどいてくれたので上に座った。


 遊具の枝は、記憶にあるよりもずっと小さくて、狭かった。


 それからやっぱり、会話せずに夕方になった。


「なぁ」


 そろそろ帰ろうかな、と本を閉じると、彼が不意に話しかけてくる。


「なに?」

「名前、なんて言うの?」


 見下ろした後頭部しか見えない彼は、どんな表情をしているのか分からなかった。

 名前を聞いただけなのに、ちょっと緊張しているような、ためらいがちな声音だった。


「燐子だよ」

「リンコ」


 彼の、声変わり途中の少ししゃがれた声音で言われると、少しくすぐったかった。

 クラスの男子にだって、名前で呼ばれた事なんかないのに。


「君は?」

「……タカヒト」


 タカヒト。どんな字を書くんだろう。

 彼と同じように名前を繰り返すと、彼の肩が少し震えた。


「私、今日はもう帰る。またね」


 何気なく言うと、彼は驚いたようにこちらを振り仰いだ。


「な、何?」


 スカートじゃなくて良かった、と内心全然別の事を考えながら問い返すと、彼は頭を横に振った。


「何でもない。じゃあな」


 私は遊具を降りて、まだそこにいるらしい彼にもう一度手を振って家に帰った。


※※※


 それからまた、広場へ行くようになった。


 気まぐれに足を運んだ時、彼はいつもそこに居た。

 大体は、お互いに受験勉強をしていて、私はたまに本を読む。


「タカヒト、ここに毎日来てるの?」

「雨の日は来ない。用事で遅くなった日も、来ない」

「ふーん」


 それ以外は毎日居るのだろうか。

 不思議に思ったが、それ以上突っ込むのもどうかと思い、私は話すのをやめた。


 会って挨拶して、黙ってお互いに別の事をして。

 私が必ず、先に帰る。


 そんな、ある日。


「なぁ」


 珍しく、タカヒトの方から話しかけてきた。


「何?」

「明後日、来れない? 7時くらいに」

「え?」


 来る事を誘われるなんて初めてで、かなり驚いた。

 そして、気づく。


 明後日は花火大会だ。

 祭りの催しの一つとして、開催される。


 これはいわゆる、デートのお誘い?


 それに気づいて、顔が熱くなるのを感じながら。

 いつもの後頭部を見下ろすと、彼の耳たぶも赤かった。


「……ムリなら、いい」

「ううん。大丈夫だよ」


 人混みは嫌いだった。

 友達は出かけるみたいだけど、私は断っていた。


「じゃ、明後日ね?」

「……うん」


 その日の会話もそれだけだったが、私はその後、受験勉強が手に付かなかった。


※※※


 花火は、林の木のせいで上半分しか見えなかったが、人がいないし、私は十分に楽しんだ。


「綺麗だったね」

「うん」


 タカヒトの顔も、いつもより綻んでいるようだ。

 しかし、帰る段になって、またいつもと違う事があった。


「あのさ」


 私服のタカヒトは、いつもより大人びて見えた。

 背も、私よりほんの少しだけ高い。


「どうしたの?」


 続きをためらうように口をつぐんでしまった彼に、先をうながす。


「いや、とか、だったら、あの。ムリにとは言わないんだけど」


 私はどきどきした。

 これは、こ、こここ、告白だろうか。


 目を伏せたタカヒトの言葉を、息を止めて待つ。

 もし告白だったら……返事、どうしよう?


 付き合う? 断る?


 そんな事を、高速でぐるぐる考えていたのに。


「遅い、し。暗いから……送っても、良いか? 家まで」

「ほぇ?」


 肩透かしを食らって、私は間抜けな声をだしてしまった。

 タカヒトは、うろたえたように忙しなく目を動かす。

 彼が体の脇に握った拳は、緊張からか震えていた。


「お、まえ、可愛いから……夜、一人で帰らすの、し、心配だから……」


 可愛いから。

 ………………可愛いから!?


 今まで言われた事ないよ、そんな事!


 緊張、肩透かし、から特大の爆弾を落とされた気分だった。


「い、良いよ?」


 何故か、舞い上がるような気持ちを覚えて、私は気づけばそう言っていた。


「てゆーか、むしろ……ありがとう?」


 送ってくれると言うだけの事に、何をそんなに緊張していたのだろう?

 私は、首を傾げていたが。


 彼は何故かほっとした様子で、緊張を解いた。


「じゃ、行こう。あんまり遅いと、親、心配するだろ?」

「う、うん……」


 何で彼が緊張していたのか、後で聞いたら、あんま良く知らない奴に家の場所を知られるのが嫌じゃないかと思った、という返事が戻って来た。


 別に嫌じゃなかった自分に、何でだろう? と自問し。

 結局、自分の気持ちに私が気づくのは、もう少し後の事だった。


 ただ、気持ちには気づかなかったけど。

 私はその後、暇さえあれば広場へと足を運ぶようになった。

 

※※※


「遊園地、楽しいね」

「そうだね」


 私たちはごっこ遊びを続ける。


 全部、今日で終わりだから。

 湿っぽくなる前に、楽しい気持ちをいっぱい味わいたい。


 思い出に浸って。

 年に一回だけの……今日で最後になるこの出会いを、堪能したい。


 これはそういう、私のワガママなのに。

 彼は今日で最後になる事を知らないのに、それに付き合ってくれてる。


 優しい人。


 ずっと傍に居たかった。

 年に一度だけでも、こうして会う事を続けたかった。


 あなたを不幸にしても、愛し続けていたかった。


 ねぇ。

 今、抱きしめてって言ったら、あなたはどうするかな。


 困るかな。

 それとも、強く抱きしめてくれるかな。


 言わないけど。

 言えないけど。


 今の私を引き裂いて、あなたとやり直せないかな。

 あの時に戻って。


 全部、ウソだった事に、なれば良いのにな。


※※※


 中学を卒業した後は、小学校の時みたいに疎遠にはならなかった。


 お互いに志望校に合格して、通う距離が遠くなって。

 平日は会えないけど、今度は週末の休みに通うようになった。


 お互いにスマホも手に入れたけど、特に連絡なんか取らなかった。

 待ち合わせなんかもしなかったけど、昼過ぎに行けば、彼はいつもそこに居た。


 その日は、風が気持ち良い涼しい日だった。


「ねー、タカヒトの学科って、なに?」


 私はなんの気なしに聞いた。

 受験はまた二年後。

 私は無理をしなかったからのほほんと本を読む日々に戻ったけど、彼はいつもタブレットでレポートかなんかを書いていた。


「建築」


 答えを聞いて、ちょっと驚いた。


「え? どこの!?」


 学校名を聞いて、さらに私は驚いた。

 新しい制服は見たことがなかったから。


「国立じゃん!」


 タカヒト、めちゃめちゃ賢いという事実が発覚。


「必死だよ。無理して入った。この辺じゃ、あそこしかなかったから」

「家建てるのに興味あるの?」

「いや。モノづくりの方。父親が、そういう仕事してたから」


 これだけ会話するのも稀だ。

 私は調子に乗って質問を続けて……後悔した。


「してた、って事は、今はしてないの?」

「死んだから」


 何でもないように言われて、私は固まった。


「どうした?」


 私の言葉が途絶えた事に何を思ったのか、彼が顔を上げて、驚いたように目を見開いた。


「おま、どうした!?」

「え?」

「何で泣いてんの?」


 言われて気づき、頬に手を当てた。


 私は、デリカシーのない事を言った。

 普通気づくだろ、私のバカ、と心の中で思い、途端に怖くなったのだ。


「あの、ごめん、ごめんなさい」

「いや、何が?」


 彼はとても戸惑っていた。

 どうして良いか分からないように立ち上がり、私の顔を見上げる。


 いつの間にか、立ち上がるだけで遊具の上に顔が出るくらい、彼の背は伸びていた。

 遊具に座っている私の顔と、距離が近い。


 ぼろぼろ出てくる涙をぬぐいながら、私はつっかえつっかえ言う。


「あの、だって、イヤ、な事、私……」


 イヤな気分にさせた。

 そんな事を言って、嫌われたかな。


 そう思うだけで、私はとても怖くなったのだ。


 もう、私はそのくらい。

 いつの間にか、タカヒトの事が好きになっていた。


 しかし彼は、ため息を吐いて、呆れた顔を見せる。


「あのな。もうだいぶ前だよ。小学生の時なんだから。別に気にしてねーよ」

「でも……」

「頼むから、そんな事で泣くなよ」


 彼は、少しためらってから、私の頭を撫でた。

 掌は大きかった。


 少しざらざらしてて、家のと違う洗濯洗剤の香りが近くにいる彼から漂ってくる。

 困ったように覗き込んでくるタカヒトの顔に、少しだけヒゲが生えているのに気づいた。


 昔より少しだけ大人びた、相変わらずあまり格好良くはない顔。

 無愛想で、ぶっきらぼうだけど、私を気遣ってくれるのが分かる、そんな心根の、彼の顔を見て。


「好き」


 気づけば、私はそう口にしていた。


「……え?」


 彼が、いつもの私みたいに、ぽかん、と惚けた顔をする。


「好きなの……だから、だから、嫌わないで……」


 彼を見下ろすと、みるみるうちに顔が赤くなり、挙動不審になった。


「いや、ちょ、ま、え?」


 まともに言葉にならない様子で、慌てる彼に。

 自分が何を口にしたのか気づいて、私も固まった。


 ……言っちゃった。


 どうしよう。


 しばらく、あー、とか、うー、とか呻いていたタカヒトは、やがて落ち着いたのか、またため息を吐いた。


 ……断られちゃうかな。


 そうしたら、結局この時間も終わってしまう。

 もう、どうしたらいいのか分からなくて、私はただ黙っていた。

 また、目に涙が滲んでくる。


 タカヒトは、少し離れて困ったようにガリガリと頭を掻いてから、私に向き直った。


「……俺も好きだよ」


 信じられない答えを貰って、私の涙は即座に引っ込んだ。

 彼は照れ臭いのか、真っ赤な顔のまま目を伏せてしまう。


「てゆーか、俺から言おうと思ってたのに……何でこんなタイミングで言っちゃうかな……」


 独り言をぶつぶつと呟いた後、彼は財布から何かのチケットを取り出して、ひらひらさせた。


「これさ、遊園地の優先チケットなんだけど」

「う、うん?」

「これに誘って、帰りに言おうと思ってたんだ」

「何を?」

「何をってお前……」


 鈍くてゴメンなさい。

 彼は、改めて私の頭を撫でてから、チケットを差し出した。


「俺と付き合ってよ。順番逆になったけど……初デートは、遊園地で」


 しばらく黙って。


「嫌いに……なってない?」

「いつ俺が、お前が嫌いになるような事されたんだよ。ずっと好きだったよ。それこそ小学生の時から……じゃなきゃ、何でわざわざ週末潰して、こんなとこまで来てたと思うんだよ。むしろ気づけ!」


 なんだか、少し怒っているようだ。

 それも理不尽に怒られてる気がした。


「あの、この場所が好きなのかと……」

「な訳ねーだろ!? いや、嫌いじゃないけど……中学になってからは、お前に会いにわざわざ来てたんだよ。この広場、住んでるとこから中学と逆方向だし……」

「そうなんだ……」


 いや、少しはおかしいと思っていた。

 雨と用事の時以外は絶対に、彼はここに居たから。


 でも、何か事情があるのかと思っていた。

 まさか、わざわざ私に会いに来てくれていたのだとは、思ってもみなかった。


「で、返事は?」


 相変わらずぶっきらぼうに言われて。

 もちろん、私は了承した。


 そして泣いた。

 明日、顔パンパンになるかも知れないくらい泣いた。


「だから泣くなって!」


 慌てる彼に、私は笑いながら、やっぱり泣いた。


※※※


 

「海行った時も、楽しかったねぇ」

「あの時は、行った時よりもリンコの水着選びの方が大変だったよ」


 タカヒトが苦笑するのに、私は口を尖らせる。


「タカヒトは分かってない。私みたいな人種にとって、水着を着るっていうのは覚悟がいるの」

「何で?」

「恥ずかしいからに決まってるでしょ」

「何が恥ずかしいんだよ」

「ヤラしい目で見るから」


 昔のやり取りを、タカヒトも覚えていた。

 彼は目を逸らした。


「それはオス的な意味で仕方がない事だと宣言しよう」

「あ、認めた。ヤラしい目的で誘ったって認めた。サイテー」

「勿論、それだけが目的だった訳じゃない」

「うそつきー」

「嘘じゃない。その証拠に、俺はちゃんと考えた」


 こんなやり取りも、もうすぐ終わり。

 話の流れの中に『あの時』が、やってくる。


 私が、タカヒトに別れを告げた日が。


 別れた日の話になった時、私はタカヒトに、もう終わり、と言わなければいけない。

 彼は、どんな顔をするだろう。


 見たくない。

 でも、言わなくちゃいけない。


 これ以上、彼を待たせても仕方がないから。

 また来年、彼が待っている事を、私は望んじゃいけないから。


※※※


 高二の夏。

 いつもの遊具で、私たちは対峙していた。

 私は枝に腰掛け、タカヒトはその前に立って。


 私は膝を抱えて睨むように彼を見て、タカヒトは困惑したように眉根を寄せていた。


「いや」

「行こうよ」

「いや」

「海……」

「いや」

「何でそんなにイヤなんだ?」


 何で?

 何でって、それを訊く?


「タカヒトは分かってない。私みたいな人種にとって、水着を着るっていうのは覚悟がいるの」

「何で?」

「恥ずかしいからに決まってるでしょ」

「何が恥ずかしいんだよ」

「ヤラしい目で見るから」


 この時、タカヒトは言葉に詰まった。

 それから小さくうなずいて、一つ提案をしてきた。


「じゃあ、恥ずかしくない水着を買いに行こう」

「え?」

「上着がついてて、何だっけ、腰に巻くやつもついてる水着あるだろ? ああいうの」

「……何でそんなに海に行きたいの?」


 逆に聞き返すと、何故か彼が恥ずかしそうに顔を伏せてから、おずおずと言う。


「俺……海に入った事ないんだ。だから一度行ってみたくて。一人で行くのも、なんか違うし。どうせ行くならリンコと行きたい」


 そう言われて、私はしぶしぶ了承した。

 ……フリをした。


 本当は。

 私と一緒が良いって言われて、すごく嬉しかったから。

 海に入った事がないと言う彼の顔も、なんか可愛かったからだ。


 恥ずかしくない水着を買えたら、一緒に行く、と。

 そう、返事をした。


※※※


 タカヒトの提案した日より一週間遅れで、私たちは海へ行った。

 約束の次の休日は、水着を買うためのショッピングデートだったから。


 遊んで、泳いで。

 日焼けした肌が海風でひりひりする。

 日焼け止め塗ったのに、意味なかった。


 ……そりゃ、泳げば流れるよね。

 でも、楽しかった。


 着替え終わって、夕日を眺めながら二人でジュースを呑む。


「リンコ」

「なに?」

「キスしていい?」


 聞かれて、顔が日焼けとは別の意味で一瞬で火照る。


「こ……ここで?」

「イヤ?」

「い……イヤじゃ、ないけど」


 なんか、タカヒトがいつもと違う。

 こういう時、私と一緒でいつも真っ赤になってたのに。


 今日は真剣な目で私を見てくる。

 でも……。


 初ちゅーだよ!?


 覚悟が!

 雰囲気ばっちりで、周りに人もいないけど!

 どうしよう。どうしよう。


 迷いに迷って固まっていると、タカヒトが軽く肩に触れた。

 びくっとして彼を見ると、彼はやっぱり真剣な顔のままで。


「目、閉じて」


 囁くように言われて、私の心は限界だった。

 ぎゅっと思い切り目を閉じて、ついでに口元も引き結ぶ。

 きっと色気もなにもない顔をしているだろう私に、彼はゆっくりと、くちびるを触れさせた。


 歯が当たるだのと、散々友達から聞かされたような事もなくて。

 微かに触れたくちびるが、ごく短い時間で離れた。


 ちゅー、しちゃった。

 鼓動が激しすぎて、辛い。


「好きだよ、リンコ」


 そんなタカヒトの言葉と、あんまり見た事ないくらい幸せそうな笑顔にとどめを刺されて。

 私は、つっかえながら返事をした。


「わたっ……私も、好き」


 私はこの頃、タカヒトに恋焦がれて。

 彼だけを見ていた。


 幸せだった。

 すごく、すごく幸せだった。


 ……幸せ、だったのに。


※※※


 高校三年生になったある日、私が足取り重く広場へ向かうと、タカヒトが何故かいつもと違って広場の前の道に立っていた。


「……どうしたの?」


 どこか厳しい顔のタカヒトにためらいがちに声を掛けると、彼は私に気付いて寂しそうな顔で、真新しい看板を指差す。


 地面に立てられたその看板には、広場を閉鎖する旨がそっけなく書かれていた。


 黄色と黒で編まれた縄が入り口に渡されていて、その向こうで、誰もいない遊具がいつもより寂しげに佇んでいる。


「そっか」


 私はぽつりと呟いた。


「そっかぁ……」


 これは、きっとそういう事なのだ。

 今が言う時なんだろう。


「ね、タカヒト」

「何?」

「別れよっか」


 つとめて、軽く言った。

 タカヒトは、何を言われたのか分からないように軽く目を見開いている。


「え?」

「私さ、引っ越す事になったの。学校もやめて働くし、もう、会いに来れない」


 私の言葉に、タカヒトは納得しなかった。


 会いに行く、と言われても拒否した。

 引っ越し先も、やめる理由も、言わなかった。


「ここ最近、暗かった事と、何か関係あるの?」


 タカヒトは鋭いなぁ。

 私は感心した。

 でも今は、その鋭さが煩わしい。


「ごめん」

「答えになってないよ」


 それでも、ごめん、と繰り返して。


「丁度良いじゃない。この広場ももうなくなるしさ。……別れて」


 タカヒトは、ひどく苦しそうな、怒ったような顔をしていた。

 でも、最後まで声を荒げたりはしなかった。


「俺は納得しないからな。俺が何かしたか?」

「何も……してない」

「なら、何で」


 私は、わざと泣いた。

 タカヒトは、私を困らせたり、私が泣いたりすると、動揺して、折れてくれる。


 ……それを利用した。

 ズルいって分かってたけど。


 それでも、利用した。

 別れる為に。


「お願いだから……別れてよ……」


 私は、言葉を失った彼を残して、背を向けた。

 全力で家まで走った。


 タカヒトは追ってこなかった。


 一度コケて、膝を怪我した。

 涙が止まらないのを痛みのせいにして。


 部屋で、膝を抱えて泣いた。

 

※※※


 タカヒトに再会したのは、三年後。

 地元の友達に、久しぶりに遊ぼうと誘われて。


 でも彼女が、いきなり用事が入って遅れて。

 その日は、夏祭りだった。


 人混みは嫌いだが、暇潰しに、懐かしさを感じながら夜店の道を歩いていた時だった。


「あ……」

「え?」


 突然、前から歩いてきた人が声を上げて。

 そちらを見ると、タカヒトが居た。


 あまり変わっていない背格好。

 少し頬が痩せただろうか。


「久しぶり」


 呆然と見つめる私に、先に言ったのはタカヒトだった。

 そんな落ち着いた微笑みを、浮かべる人だっただろうか。


「……久しぶり」


 答える私の声は、自分でも固いと思った。

 でもタカヒトは気にした様子もなく話を続ける。


「今日は、一人?」


 邪魔になるから、と通行人を避けて端に寄って、話をする。


「ううん。友達が遅れて」

「そう。少し話さない?」


 問われて。

 私は、躊躇ってから首を縦に振った。


 何を言われるか不安な気持ちと。

 昔みたいに話したい、という期待が。


 同じくらい、胸の中にあった。


 彼が案内してくれたのは、あの林の近くにある公園だった。


「人、いないね」

「人混みは嫌いだろ? そろそろ花火の時間で、ここから花火は見えないから」


 ベンチの端に座った彼は、逆の端を私に勧めた。

 その、人一人分の隙間が、私たちがもう、恋人ではない事を示している。


 友達が来るまでの間、あの頃みたいにたわいのない話をする。

 変わっている語り口と、変わらない笑顔。


 あの、別れた日の事を、彼は一言も話さなかった。

 時間になり、駅に向かった後の別れ際。


「また会える?」

「……私、忙しいよ」


 この頃の私は、昼も夜も仕事をしていて、休みの日は泥のように寝ていた。

 

「なら、また来年、この日に会おう」

「気の長い約束だね……」

「元々、それなりに気は長い方だ」

「知ってる。じゃあね」

「ああ、またな」


 そう言って、彼は手を振り。


 またな、と言うその口調だけは変わりなくて。

 私は、寂しさと嬉しさを覚えた。


※※※


「私、結婚するの」


 あの日から、五年。

 毎年律儀に会い、私たちは25歳になっていた。

 今日の邂逅が昼間になのは、私から連絡したからだ。


 楽しい話は、もう終わり。


 夜は用があった。

 彼は了承してくれた。


 そして今。

 私は、彼に大事な話をする。


「だから、年に一度会うのも、これで終わり」

「そう。仕方ないね」


 仕方ない。

 言った彼の顔は、いつもと変わらなかった。


 それで終わっちゃっていいくらい、タカヒトにとってこの時間は軽いものだったのだろうか。


 でも、それも当然なのかも知れない。

 私は、諦めとともに受け入れる。


 だって、フったのは私。

 偶然再会したからって、それから交流を持ってくれたからって、彼が私を今でも想ってくれているなんて。


 そう信じてはいけないような事を、私は彼にしたのだから。

 別れ際になって。


「バイバイ」

「じゃあね」


 彼が言ったのは、いつもの、またな、じゃなかった。

 これで終わりだと言ったのは私なのに。


 その言葉に、ひどく泣けてくる。


※※※


 高三になり、彼に別れを告げる少し前。

 父が、借金を負った。


 中小企業の社長だったが、倒産したのだ。

 父は、母と別れる事で私たちを守ろうとしたが、私は父を一人には出来なかった。


 母は弟を連れて別れ、私は父に付いていった。

 ありふれた話だ。


 高校をやめる、と彼には言ったが、実際は夜間大学に通い、昼はバイトして高校は卒業した。

 就職し、夜のバイトとの両立で、父と借金を返しながら暮らした。


 だが、父が倒れて限界が来た。

 私が借金先にその旨を伝えて返済に関する相談がしたいと言うと、向こうからの返答は意外なものだった。


 元本(がんぽん)を別に払ってくれる人がいる、条件は嫁ぐこと。

 

 顔も知らない誰かが、私なんかの一生を、お金で買う、と。

 安い金額では、決してない。


 この先返し続けても払いきれないほどのそれを、肩代わりしてくれる、と。

 私は、その提案を受け入れた。


 もっと早く望まれていたけれど、タカヒトに会う今日をその日にしたのは、彼に二度目の別れを告げたかったから。


 結婚したら、どうなるか分からない。

 自由なんかないかも知れないから。


 伝えられた住所は、地元の二駅先で、丁度よかった。

 時間には余裕を見ている。

 夜になって、街灯に照らされた閑静な住宅街を歩いて行くと、手の中のスマホが目的地を告げた。


「ここ……?」


 私は思わず疑問を口にした。


 確かに、それなりに立派な家だ。

 落ち着いた色合いの二階建てで、車庫には普通車が止まっている。


 中庭構造、と言うのだろうか。

 入口横の車庫の奥に、庭らしきものが見えた。


 しかし、借金のあの額を、ぽん、と出せるような人間が住む家には見えなかった。


 ごく普通の住宅に見える。


「愛人宅、とか、そういうのかな?」


 結婚と聞いていたが、違うのだろうか。

 まぁ、もし仮に愛人だとして、それに文句を言える身分でもない。


 そもそも、私は私をお買い上げいただいた理由すらまだ判然としていなかった。


 待たせる訳にもいかない。

 緊張しながら、私はインターホンを押した。


 待つこと、少し。


「いらっしゃい」


 玄関から顔を見せた男性を見て。

 私は、完全に固まった。


 服装は清潔で、髪は長くない。

 それなりの背丈があり、世間的にはあまり格好良いとは言えない顔。

 彼は、つい先ほどまで会っていた男性。


 まぎれもなく、タカヒトだった。


※※※


「入って」


 迎え入れる彼に従って入った家の中は、きちんと片付いていた。

 リビングに入ると対面式カウンターがあり、ヤカンがコンロで湯気を立てている。


 削り出しの一枚板のテーブルは高そうで、中庭に向いた窓は明るい色のカーテンで仕切られている。


「今、コーヒーでも入れようと思ってたんだ。紅茶とどっちが良い?」

「……どっちでもいい」

「分かった。ソファにでも座ってて」


 彼は慣れた手際で、コーヒーを入れ始めた。

 私は、タカヒトが目の前に来るまで黙って俯いていた。


「結構、おいしいと思うよ」


 薦められたコーヒーに手を付けずに、私は俯いたまま言った。


「何でここにいるの?」

「ここが俺の家だ」

「あなたが……」


 あえて、他人行儀に、私は言う。


「私を買ったの?」


 彼は、静かにコーヒーのカップを置いて、足を組んだ。


「そうだよ」

「何で!?」


 私は勢いよく顔を上げて彼を睨みつける。


「何であなたなのよ!? 顔も知らない相手を、金で買うような人だと思わなかったわ!」

「少し落ち着こう。俺は顔も知らない相手を買ったんじゃない。……君を、買ったんだ」


 彼の顔には、何の表情も浮かんでいなかった。


「……どうして」

「もう、君を逃さない為に」


 そう言って立ち上がった彼が、知らない人に見えて。

 私は、思わず身をこわばらせた。


 彼はそんな私に構わずテーブルを回り込むと、私の両肩に手を掛ける。

 私は、顔を上げられなかった。


「俺は、全部、知ってるんだ」


 上から降りてきた彼の言葉に、私は首を横に振った。

 認めたくなかった。


「君の家が借金で離散した事も、君が何故俺の前から去ったのかも、全て知ってる」

「……おかしいじゃない。私、一言だってあなたにそんな事言わなかった」

「そうだね。だから調べたんだ。あの祭りの日だって、俺が君の友達に頼んだ。君に会いたかったから」

「何でそんな事するのよ。わ、私は知られたくなかった!」


 涙がにじんでくる。

 彼には、今の自分の事を知られたくなかった。

 惨めな自分を、金のために体を売るような自分を、彼にだけは知られたくなかったのに。


「当たり前だろう。あんな別れ方で、俺は納得しないと言ったはずだ」

「どうして放っておいてくれなかったの! こんな、私をお金で買うような! 立派な家を持ってる事を見せつけて、楽しい!? 一体、何がしたいのよ!」


 私は、無理やり顔を上に向けさせられた。


「君が欲しかったんだ。お金で君が買えると分かったから、そうした。お父さん、倒れたんだろう? もし元気だったら、君はこんな取引には応じなかっただろう」


 彼の目は真剣だった。

 初めて口づけをしたあの時よりも、よほど真剣に見えた。


「俺の両親は、小学生の時に事故で死んだ」


 それは、初めて聞く話だった。

 父親が死んでいた事は聞いたが、まさか母親まで死んでいたとは思わなかった。


「丁度、君と会った頃だ。叔父さんは俺を引き取ってくれて、良くしてくれたけど、あの家に居場所がないと、俺は思い込んでいた」


 だからあの広場で、昼間はあまり家に帰らないようにしていた、とタカヒトは遠い目で語る。


「そんな時に、君が突っかかってきた」


 幸せそうで、無邪気。意地悪を言ったら泣きそうになった、女の子。


「君といるのが、心地よかった。何も言わないで、そばにいるだけだったから」


 寂しさを埋めてもらった、とタカヒトは言う。

 気になっていたのに、大して話もせずに中学生になり、私が来なくなって後悔したのだと。


「連絡先すら知らなかった。それでも諦めきれなくて、あの広場に通った。君がもう一度きてくれた時は、本当に嬉しかったんだ」

「……私、何も知らなかった」

「言わなかったからね。でも本当に、叔父さんは良くしてくれたんだよ。有名な家具職人だった親父の莫大な遺産も、俺の養育費以外は丸々残してくれて。……そのお金で、君と、大事なものと、この家を買ったんだ」


 君と暮らす為に、と。

 執念にも似た独占欲を滲ませて、彼は膝をついて私の頬を撫でる。


「俺を好きだと言ってくれた時は、本当に嬉しかった。君と色んなところに出かけるのは楽しかった。……なのに君はいなくなった。納得できなくて、当然だろう?」


 受験も何もかも、頑張れたのは私のおかげだった、とタカヒトは言う。


「君と結婚したかった。養えるように、手に職を付ける為に、親父と同じ道に進んで……」


 彼は私から手を離すと、窓際に向かってカーテンを大きく開いた。


「見て」


 のろのろと、窓に顔を向けると信じられないものが見えた。


「これって……」


 目の前にあるのは、見慣れた……とても懐かしいものだった。


「あの、遊具?」

「手に入れるの、結構苦労したけどね。高校生の話なんか役所は真剣に取り合ってくれなかったから。叔父さんにも協力してもらって、遺産で買った」


 私は、思わず立ち上がって窓際に寄った。

 そこにあったのは、滑り台の遊具。


 本体は木製で、木のウロを模したトンネルと、その中にある短い階段。

 階段の先には小さなスペースがあって、片方は滑り台に、もう片方は私が数え切れないくらい座った、枝を模した張り出しがある。


 その枝の脇に、見慣れない赤色があった。


「あれは、林檎……?」

「そうだよ」


 それは、赤く塗られた、林檎を模した腰掛けだった。

 枝の横にあった手すりを外し、木に林檎が実った事で、大人が二人で腰掛けても大丈夫なくらい広いスペースが確保されている。


「林檎っていう字は『林の中、木の上の(トリ)』と書くんだよ」


 タカヒトは、私を、後ろから抱きしめる。


 林の中で。

 広場に置かれた、木の形の遊具。

 では、禽は。


「リンコ。禽という字には、覆いこむ、という意味もある。俺は、君を逃さない」


 耳元で囁かれて、背中がゾクゾクした。


 私が感じるその感覚は。

 恐怖?

 それとも……喜び?


 タカヒトが、私にこれほど執着していたなんて。

 でも。


「リンコ」


 私に呼びかける彼の声は、小さな子どもみたいに震えている。


「俺のものだ。もう、絶対に逃さない」


 私は、目を閉じた。

 涙が溢れる。


 失くしたと思っていた。


 自分で捨てたと、そう思っていた。


 もう二度と手に入らないのだと。


 なのに。

 失くしたはずの彼の腕に、今、私は強く抱きしめられている。


 嬉しい。


 私は全部諦めていた。

 彼は何も諦めなかった。


「ねぇ、キスして」


 無理やり首をよじって彼を見上げると、彼はうなずいて顔を寄せた。

 あの日のような、触れるだけのキス。


「お金。ちゃんと返すから」

「いらない。俺は、君が俺のそばに居てくれるだけで良い」

「……高い買い物だったって、後悔しない?」

「お金でリンコが買えるなら、幾らだって安い」


 私は、もう考えるのをやめた。


 どうせ元々、私の心は彼の好意につつかれて、他の人の取り分なんて欠片も残ってないんだから。


 狂おしいほどタカヒトを求めているのは。

 私だって、同じなんだから。


 

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