時期:『1-4 エンドウォール編』の後。 『バルドによるエンド・ウォールの説明』
それは現役上級冒険者ザロンが運営する野営拠点からエンド・ウォールに向かって移動する途中の話。
馬車の御者はラセスが運転しており。
残り2人、ロープを身に包んだ少女とバルド・ブールアは座って目的地への到着を待っていた。
「ねぇ、【エンドウォール】ってどんな地形?」
突如、ロープを身に包んだ少女からこんな質問が来る。
「そうだね・・・・。一言で言えば、浮かんだ島の上に有る国だよ」
咄嗟にバルドは学んだ事を思い出しながら答える。
「もっと詳しく」
「あ。ええと・・・・。【エンド・ウォール】の規模は小国級だと周りから思われがちだけど、実際は異人と人間が混在している為、まだ街として機能が動いていない所も有る。その為、国の実質の規模はもっと小さい。それでも、【エンド・ウォール】にやって来る人は多いんだ。あ。そうそう。島の下に超巨大クレーターが有ってさ、それと浮かんでいる島の間は竜が自由に飛び回れる程の広さが有るよ」
詳細な説明を要求されたバルドは。
腕を動かして、大まかなイメージを伝えようと努力する。
それを聞いた、ロープを身に包んだ少女がビクッと反応する。
「・・・・・クレーター?」
「うん。なんか、遠い昔、僕が信奉する神様が彼氏に浮気されて・・・・あ。彼氏も神様だよ。それでね、その浮気が分かった時の怒りを何の罪も無い大地にぶつけたらしいよ」
「何の罪も無い大地、可哀想すぎる!!」
「そんで、神の一撃でぽかっとクレーターが出来上がった・・・・・らしい・・・・多分・・・・。神話だし、内容が曖昧だからね。本当の話なのかは分からないよ」
「な・・・・なるほど。あ。ところで、リュックの中って何が入っているの?」
「ああ、色々と有るよ」
背負ったリュックをロープを身に包んだ少女の前に差し出し、中身を公開する。
寝袋、磁石、火花石(火を付ける事を特化した石)、食糧(買い込んでいたが、僅か2日で消えた)、ランタン(普通の店で買える物。魔法品ではない)など・・・・生活でよく使う物が沢山入っている。
「へぇ・・・・・こんなに有るんだ」
「まぁ、良く世話になっているよ」
ロープを身に包んだ少女は興味深く覗き込む。
その様子はまだ見たことない物を触れて興奮する子供のようだ。
「あははは・・・・」
「何笑っているのよ」
「あっ、ごめんごめん。・・・・時間はまだあるっぽいね。他に聞きたい事は有る?」
その後、様々な質問を受けながら、バルドは目的地への到着を気長く待った。