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青いとり

作者: Yuki_Mar12

おおきなそらを、捕まえた。


そらの裏には、だいちがぴったりとはり付いていたけど、


よけいだから、ぼくははがしてゴミ箱に捨ててしまった。


それからそらは、とり籠に入れてだいじに飼っている。




そらは、ふしぎな生き物だ。


なんにも食べないし飲まないし、どんな音も発しない。


ただ、まわるだけ。ゆっくり、ぐぅるぐぅる、と、うごくだけ。



ながく飼っていれば、どんな生き物なのか、だんだんと分かってくる。


そらは、きまぐれな生き物だ。


機嫌がいいときは突き抜けて青いけど、わるいときは、くさくさした灰色だ。


ある日には、ひとときに青いのに灰色だったりして、むずかしい。


その灰色も、白にちかかったり、黒にちかかったりするから、分からない。


籠から取り出して見つめたら、まぶしいくらいに赤く火照ったりするし、


ねるときは、こわいくらいにまっ黒だ。


気持ちはまるで、カメレオンを飼っているよう。


でも、カメレオンと違うのは、にんげんみたく泣くところだ。


そらは、にんげんみたく、涙をながす。


だいたいは灰色のときだけど、たまに青いときにもながす。


うれし涙なのかも知れない。




ある日、そらが灰色になって、涙がとまらなくなった。


あんまりにもしくしく泣くものだから、なんだか可哀想になってしまった。


だから、そらをぼくは、とり籠からそとに出してやった。


涙はやんで、そらはぶわっとおおきく、とじていたつばさを目一杯にひらいた。


つばさは果しなくひらきつづけ、海よりもひろく、ながれ星よりもながくなった。


そしてそらは、おおぶりにはばたきながら、元いたところへ向いとびたっていった。




とり籠には、たまごが一個、ころがっていた。


ちいさなたまごが、のこっていた。




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