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■末-生生流転
それが、結末ですか……
嘘じゃあ、なさそうですね。卜部さんが嘘をつく必要なんてないですもんね。
ははッ──俺の今までの人生全てが父に呪われてたなんて。
ほんとに笑えませんね。
卜部さん、この話は他の人には……
ああ、そうですか。誰にも言ってませんか。
良かった。まあ、卜部さんは誰かと話すこと自体少なさそうですもんね。
こんな話が帝にでもばれたら、本当に武士でいられなくなりそうですよ。
内緒にしていてもらえますか?
有難う御座います。
でも、卜部さん。
話してくれて、ほんっとに有難う御座います。
なんだか、すっきりしました。
本当に憑き物が落ちたというか、最期のつっかかりがとれたというか。
これでもう、俺は何かを失う事を恐れずに生きていけそうです。
足柄山の金太郎──坂田公時は膝を正し、姿勢を伸ばし、深々と頭を下げると、額を床につけた。
この時、坂田公時は父を失い、今後何も失う事のない平穏な人生を得た。
そして、民を守り、国を護る武士としての生きていく決意が胸に溢れ、暫く顔をあげる事は出来なかった。