第二話 地雷と蹂躙
第二話です。少し短いです。
「助けに来たぜ!!シルヴィー。」
しまった~!!ガラにもなくカッコつけてしまった~。姫様引いてないだろうか?そう思ってシルヴィーの方を見る。すると、シルヴィーは目に涙を浮かべてこっちを見ていた。
「レイッッ!!助けに来てくれたのか!!お前と言うやつはいつもいいタイミングて来てくれる!!……惚れてしまうでは無いかッッ。」
最後の方だけボソッと言っていたから聞こえなかったが、恐らくありがとうとでも言ったのだろう。しかし、あのシルヴィーが泣き出すとは…。もっと早く出てくるべきだったか。俺が後悔していると姫が続けて言った。
「で。いつから見てたのだ??」
ギクッッ!!ばれていたのか!!仕方がないので俺はおそるおそる正直に言う。
「この卑怯者め!!のあたりからかな??」
「最初からでは無いかッッ!!ならお前は私に危機が及んでいるのを分かってて黙って見てたのか!!」
間髪入れずにツッコミが飛んでくる。
「だって怖がってるシルヴィーが可愛いすぎて思わず…。」
俺がそう言うと、シルヴィーは真っ赤になってしまった。
「レイ様、流石にそれはどうかと思いますよ。」
アリシアまで俺を非難する。そこで、俺はアリシアに言った。
「いやー。アッちゃんの’姫様はお逃げください!!’には思わず感動しちゃったよ。」
ボンっっ!!と音をたてるようにアリシアも真っ赤になってしまった。ちなみにアッちゃんってのはアリシアのあだ名だ。俺がつけてやったんだが、その時もこんな風に真っ赤になってたっけ。ずっと放って置かれたのが気に障ったのか、盗賊の頭が突然キレて言った。
「お前らぁ、何呑気に喋ってんだぁ!?可愛い女が1人加わっただけで何安心しちゃってんだよぉ!!ぐひひひ!!よく見れば中々いい女じゃないか!!俺自ら可愛がってやろう!!お前らぁ、皇女はやる!!その代わりあの女は俺のもんだ!!さあ、かかれ!!」
…なんだとッッ!!
「あーあ。あやつ地雷を踏んだな。」
シルヴィーが言う。だが今の俺にとってはどうでもいい。
「だーれが美しすぎて女にしか見えないだとーーーー!!!!」
俺はキレていた。ああ、キレたさ。あいつ俺の事、女って言いやがった!!ははは!!死ねッッ!!
「我求むるは火。その力をもって我が敵を焼きつくせ!!フレイムプリズン!!」
赤い魔方陣が空中に浮かび上がる。先程とは比べものにならない程大きい。
「なんだ??あのクソでかい魔方陣は!!それに白髪のポニーテールに赤のコート。まさかあいつはッッ!!焔の宮廷魔導師!!レイ=サラディールッッ!!」
盗賊が俺の正体に気付くがもう遅い。奴らの足下から5つの火柱が上がる。そしてその全てが襲いかかる。
「フレイムプリズンはもともと拷問用の魔法だ。それを俺は戦闘用に改造した。炎の熱さに苦しみながら死ねッッ!!」
「ギャーー!!!!」
盗賊共の断末魔が聞こえる。しかしこれは当然の報いだ。シルヴェリア王国の皇女を襲い、挙げ句の果てに俺の事を女だと言ったのだ。誤解の無いように言っておくが、俺は決して女を蔑んでいるわけでは無い。ただ、女顔ってかっこ悪いじゃないか!!ああ、気にしてんだよ!!悪いか!?と言っている間に盗賊共の声がしなくなった。戦い、いや蹂躙は終わったのだ。
読んで下さり、ありがとうございます。不定期更新なので、次話はいつになるか分かりませんが、良かったら読んで下さい。