2
突然触手の動きが止まり、大きな咆哮が響き渡る。ゆっくりと目を開けた男は見つからないように袋小路から抜け出した。そして男が見た先には、紅い軍服を身にまとう、若き青年と少女達の姿があった。
「大丈夫ですか?」大人しそうな少女が男に声を掛ける。
男が大丈夫と返事を返すと、少女は彼を安全な場所に連れて行った。先程の怪獣は二人にめがけて触手を放とうとする。
「させるかよ!!」
青年の中でも大柄な男が狙いを定めると、バズーカ砲の引き金を引く。砲口から放たれた弾が触手に直撃すると、爆発する。爆発とともに怪獣の咆哮が響き渡り、怪獣の体がよろめいた。
眼鏡を掛けた青年がそれを見ると、間髪いれずに狙撃銃で触手を撃ち抜いていく。怪獣は呻き声のような咆哮をあげると、まだ使える触手で青年達に襲い掛かる。
触手による攻撃を彼らは難なく避けると、彼らは怪獣と一定の距離を取り始める。
「砲撃はできるか?」青年の中に一人の質問に、無線機から返答が聞こえてくる。
「いけるよ」
彼らから遠く離れたビルの屋上で、一人の少女が答えた。彼女のすぐ近くには黒く光る砲台が設置されていた。その砲台の近くには、砲撃手と思われる少女が入念に照準を合わせている。
「誤差修正、終わりました」
砲撃手の一言を聞いて、少女は合図の発煙筒を作動させる。その合図を確認した青年が、合図あり、と大声を上げる。
「よし、撃て!」
その一言を聞いて、砲撃手の少女は引き金を引いた。大きな音ともに放たれた対怪獣用の砲弾が、一直線に怪獣へと飛んでいく。
怪獣から炎が噴き出した。怪獣は体から大量の血を流していた。その炎を合図に、怪獣に銃弾が次々と撃ち込まれていく。
銃弾が撃ち込まれてからしばらくして、怪獣が一際大きな咆哮を上げる。そして咆哮とともに、その巨体を地に倒した。
先程少女に連れられて安全な場所に避難した男は、その一部始終を見ていた。彼は目の前で繰り広げられていた戦いに戸惑っていた。男は少女の方を振り向くと、落ち着いたように見せながら尋ねる。
「君達は……いったい何者なんだ?」
男の問いを聞いて、少女は優しい笑顔を浮べながら答えた。
「私達は世界を護る正義の味方です」