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剣ト魔法トチートノ冒険録  作者: のびよ君
剣術大会編
36/38

三十一話 秘密兵器

 言っておくと俺の秘密兵器とは、大した物じゃない。ただの不意打ち専用のセコい技みたいなものだ。

 ので、使い道を間違えると手の内を晒すと同時に、その瞬間負けに繋がるくらいのリスクを孕んでいる。


(からには、キチンと失敗の可能性を潰しておきたいワケですぜぃ)


 俺はマルクの木刀を弾きつつ、マルクの仕草を観察。しかし、どこにも不自然なところはない。


(やっぱり、予知能力(仮)を使わせるくらいの状況を作りださんといけませんかぃ・・)


「せあああああっ!」


 気合とともに片方の木曲刀を振るう。狙うはマルクの脇腹。


「甘いッ!」


 マルクが軽々と攻撃を弾く。

 だが、これは布石ッ!


「らああっ!」


 遠心力を利用しての先ほどとは逆の手に持った曲刀での回転斬り!


「何度も不意打ちにかかるほどバカじゃないぜッ!」


 ほとんど間発を入れずに打った攻撃にも関わらず、弾かれる。恐ろしく速い反応だ。


「っしゃあ!」


 しかし、それも布石。この三撃目こそが大本命。

 俺は2撃目が弾かれる前からマルクの方へ一歩踏み込んでいた。

 そして、マルクの死角からの一撃。これで決まれば俺の勝ち。そして避けられた場合・・・・・


 俺は曲刀を振りながらマルクを観察していた。

 先程マルクが予知能力(仮)を使った時は、マルクは俺の攻撃を見ずに避けた。

 なら、どこを見ていたか?一見、どうでも良いことに思えるかもしれないが、マルクの能力が『透視能力クレアボヤンス』である以上、「見る」と言う行為がなんら関係しているかもしれないと俺は考えた。

 俺は横目でマルクを見る。そして、マルクの視線は、俺の顔を見ていた。


「くっ……っ!何度やっても無駄だぜっ!シュラハルトっ!」


 攻撃は躱される。そして、もう一発。身体を捻ってマルクの死角へ叩き込む!


「無駄だっ!シュラハルト!」


 今までと同じように躱される攻撃。そしてマルクは俺の顔を見ていた。


…………これで、謎は解けたッッッッッ!(多分ね☆)


 ちょいと不安だが恐らく、マルクの予知は『透視能力クレアボヤンス』の応用と言うか、特別特典と言うかで、相手の顔を見ているとき、少しの間だけ対象の考えを「見透かす」事ができるのだ。……俺、上手い事いったナ……。


あとはタイミングだ。謎が分かると逆にマルクの視線を意識して、動きに支障がでそうだ。(今の言い方はなんか気色悪いな……)しかし、それくらいは予想済みだ。根性、根性で正面突破だ。


「おおおおおおおッ!根☆性ォォォォ

ためオオオオオ!」


吹き出す、闘気。量はやはり多い。これも賢者モードの恩恵か。油断は禁物。最後の一瞬にこそ、全てを込めるっ!


「行くぞ!マルクゥゥゥ!」

「来い!シュラハルトォ!」


俺は全身全霊を込めて突進。勿論マルクの視線が顔に行かないようにしながら。多分、先程使ったばかりなので、マルクの予知は現在クールタイムだろうが、万が一のために、だ。


マルクの位置は……分かる。考えるな、感じろ。まさにソレだ。そして俺は突進の勢いのまま、

飛び上がる。そして上空から両方の木曲刀で思い切り打ちかかる。


「くらええええええッ!」


それを受け止める、マルク。マルクからはかすかな闘気が吹き出していた。


(マズイ、このままだと、秘密兵器を出す前に力押しで負けてしまいますぜぃっ)


「っセイ!」


全力でマルクの木刀を弾く。俺は地面に着地。それと同時に再び突進。


「オオオオオオッ!」

「くっ!」


 再び俺二本の木曲刀とマルクの木刀が激突。その瞬間、マルクの全身から今までにないくらいの闘気が吹き出す。


「ぐっぉおお!?」

「ハアアアアアアアアアアアッ!」


 押し込まれる。俺。恐ろしいくらいの重さだ。全身が悲鳴を上げている。だが、ここで失敗すればここまでやってきた事が全て無駄になってしまう。今こそ、使う秘密兵器を!


………俺の木曲刀は実はかなり小さい。サイズは短剣と言ってもおかしくないくらいだ。しかし、普通の木より丈夫な木で出来ているからだ。何故かって?中身は空洞だからさ。なぜ小さいかだって?それは片手で曲刀に付いている「留め金」を外しやすいからだ。では、曲刀には何が入っているかだって?

それは・・・・


 神経を集中させる。留め金を外し、木刀を避け、一撃を食らわせる。その間は恐らく、2秒とないだろう。常人の運動神経ではできない。しかし、やらなければいけない。いくぞ!俺!


 マルクの視線と合わないようにしたを向く。そして、両方の曲刀の留め金を外す。すると、木曲刀

が何に例えるべきか……本のように開き、中からブツが出てくる。木曲刀を離し、出てきたかなり小さめで薄めの木曲刀に持ち替える。そして、頭上から振り下ろされる木刀。それを身体を捻り、避ける。


「うっぉおおおおおおおっ!」


ビュンッ!と、肩の横を木刀が通り過ぎる。冷や汗がにじむが、ここで止まるわけには、いかない!


「くらぇえええええええっ!」


 そして、俺は右のミニ木曲刀をマルクの胸を目掛け、左のミニ木曲刀をマルクの脇腹目掛け、振るった!


 


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