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剣ト魔法トチートノ冒険録  作者: のびよ君
剣術大会編
35/38

三十話 思考タイム!

 秘密兵器を使うにしても、どうするか。

恐らく、マルクには秘密兵器を使わないと勝つことはできない。

しかし、マルクは刀の腕以外に、俺の動きを予測するような能力がある。

多分、マルクの授かった能力、透視能力クレアボヤンスが関係あると

思う。


 だが、マルクは能力の発動中に「目が光る」と言っていた。俺の攻撃を避ける時にマルクの目は光っていなかった。なぜか。わからない。

ならば目が光らない謎は「そう言った能力」と言う事で納得するしかないだろう。問題はその能力の弱点だ。


 もし、マルクが攻撃を避けるのに使う能力の正体が考えを読む類のものであった場合、俺の考えは今にも読まれており、秘密兵器をあっさり対処され一本とられ俺は負ける。だが、そんな事を考えても仕方がない。そうでない事を祈り、戦うしかないのだ。


「さあ、シュラハルト。第三ラウンド、始めようか」


 マルクが木刀を構える。


「そうですねぃ、考えても仕方無ぇ!」


 俺も木曲刀を二本構える。


「再開ッ」


 審判の声。それと同時にマルクが恐るべきスピードで突進してくる。


「ハッ!」


 マルクの気合とともに木刀での目にも止まらぬ一閃。


「ぐっ!」


 俺はそれを木曲刀を二本交差させて受け止める。そして自分に言い聞かせるように頭の中で言う。


――― いいか、俺よ、シュラハルトよ。ここで不安がっていてもお前はマルクに負け、剣と魔法ライフの道は閉ざされる。まずは楽しむんだ。この試合を。強敵との戦いを!―――


 心を静かに。闘士の炎を着火。段々と燃え広がるようにイメージ。


 そして


「根性ォォォォォオオオオ!」


 俺は叫ぶ。心はスカッとして身体が熱い。その割に頭は驚くほどに冷静。

まるで悟りを開いたかのようだ!身体は熱く、頭は冷静!俺は何かの境地に達したらしい。今ならなにもかもが達観して見えそうだ!


 俺はこれを『賢者モード』と名付ける。


 その瞬間、俺の身体からぶわっと音を立てて闘気が噴き出す。いままでに無い量である。


「ッ!どりゃああああ!」


 俺は木曲刀を交差させて作った盾に力を込めると、少し遅れてマルクが木刀に力を込める。だが、マルクは今、闘気を纏っていない。ので、俺の方が迫り合いは勝る。


「せいやっ!」


 交差していた木曲刀の一本、右手の木曲刀を抜き、左手の木曲刀ででマルクの木刀を止める。そして、右手の木曲刀でマルクの木刀を横から弾く。この間、僅か1秒程度。自分でも俺スゲェ!と思う程の速さだ。


 ほんの少し体制を崩したマルクの脇腹に木曲刀を振るう。しかし、あっさりと止められる。だが、これは布石。止められた瞬間に俺は全力を込めて、左手の木曲刀を振るう。しかし、マルクはその攻撃の方を見さえせずにあっさりと最低限の動きでよけた。


 やはり、マルクには攻撃を予測する類の能力がある。だが、デメリットもあるのは確かだ。一つは時間制限。使える時間はそこまで長くは無いはず。これだけは確実に言える。・・・マルクがそう思い込ませるようにしているのなら話は別であるが。

 もう一つはマルクは俺に一本取られたとき、攻撃を避けられなかった

こと。これには何か理由があるはずだ。俺は考える。思考が今までに無い速さで加速する。


 まず、するべきは、マルクが能力を使ったときの状況を思い出すこと。


 一度目は予選。マルクは相手の少年の攻撃をあらかじめ予測していたかのように避けていた。あの時は遠目で詳しい事は分らなかった。


 二度目はマルクに一本取られた時だ。俺の木曲刀二本での一斉攻撃を軽々と最低限の動きで避けてみせた。


 三度目はたった今。同じように最低限の動きで、軽々と攻撃を避けた。


 一度目は得られる情報はこれだけ。二度目も必死だったのでよく覚えていない。となると三度目の時、ついさっきの情報をよく思い出すべきだろう。


考えろ、どんなことでも良いから思い出せ!!


 あのとき、マルクは最低限の動きで俺の攻撃を避けた。避けられた攻撃に共通点は無い。なので注目するのはマルクの仕草。マルクが攻撃を避ける前、何かをするそぶりは見せなかった。他に何か無いか。何か。


よく思い出せ。じっくりとなんでもいいから!


 俺の思考はさらに加速。段々と数秒前、マルクに攻撃を避けられた時のことが思い浮かんで来る。


「!」


 一つ、疑問が浮かんだ。恐らく、これが分かればマルクの能力の謎が分かるはずだ。


 俺の頭の中に光が差した!その瞬間、意識が現実に戻ってくる。


「うおおっ!」


 意識が現実にもどった俺を迎えたのは、眼前の木刀。思わず声を上げてしまう。俺は全速力で横に転がり避ける。


「どうしたんだい?意識が現実になかったみたいだが?シュラハルト」


「なんでも無ぇぜぃ!ただホントにボーッとしていただけだぜぃ!」


「そうかい!!それじゃあ行くよっ!」


「来いやぁっ!」


 俺の思考は読まれていない。つまり考えを読む類の能力ではない。あとは、俺の中の疑問を解けば、俺の勝利が見える・・・!!


 

 




 


 




 

お久しぶりです。またちょいちょい投稿しようと思うので温かく見守ってくれるとありがたいです。

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