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剣ト魔法トチートノ冒険録  作者: のびよ君
剣術大会編
33/38

二十八話 決勝一回戦

 盛り上がる会場、高鳴る心音、そして自然とワクワクして大量放出されるアドレナリン。そんな状況の中に俺はいた。東京ドームくらいはあろうかと言う闘技場の人々の視線が最も集まる場所。すなわち中央部。そこに並ぶ4つの石畳の内の一つに立つ俺とマルク。


「シュラハルト。さあ、正々堂々と戦おうぜ」


 目の前にいるオールバックの刀使い、マルク。神様に透視能力を注文した変態ヤロー(まだ疑惑段階)だが油断はできない。少なくとも、凄く、強い。


「ハッ」


 何を不安がる事があるか、俺。こういった強敵とこれからもスリリングに戦いたいがために、俺はこの剣術大会に出る事を選んだ。そのために精一杯頑張った。『闘気』も中途半端ながらにも習得した。中途半端なあたりが少しまあ、不安であるが、この際は気にしない!不安なんて文字は俺の辞書から消し去ってくれる!


「ああ、マルク。こっちもよろしく頼むぜぃ。クリーンな真っ向勝負をしようかぃ」


 そう言いながら俺はマルクに右手を差し出し、握手を求める。それを見てマルクはクスッと笑い。


「随分、強くなったみたいだな。感じが違う・・・・これは・・・自信・・かな?」


 多少、心を読まれた気がしてギクッとなるが、ここで「なんで分かった・・・」なんて言ったら負けな気がしたのでここはあえてポーカーフェイスで言った


「んな事はどうでもいいから、さっさと始めようぜぃ。マルク!」


「面白いな、シュラハルト!勝負する前なのに楽しくなってきて仕方が無いよ」


 お互い視線を交わし、そして握手を交わす。審判から『守りの指輪』が渡され、俺とマルクが初期位置に。


 俺は2本の曲刀(木)を、マルクは木刀をそれぞれ構える。他の試合と同時で開始らしく、会場は一気に沈むように静かに、文字通りの沈黙。世界から音が消えた。そんな感覚がした。


 試合の開始を待つこの状況で俺は『闘気』の修行後、フェーラルから言われた事を思いだしていた。




――――― 試合が始まったら速攻で闘気を発動して攻めろ ―――――


 それがフェーラルの指示だった。別にあの獣娘は俺のコーチでもなんでも無いんだけどね!一応アイツの方が強いから聞いただけだもん!と俺はムキになっちゃっている。


 指示の理由はフェーラルが言うに、「非力なアンタがあの居合の達人みたいなマルクに勝つには速攻で一本とっちゃう事よそれしか無い」


 そう言われた時にどこまで俺を過小評価しとんねんこのヤロゥ!とカチンと来てしまった俺だが、とりあえず聞いてくだけ聞いておくと、「速攻で一本とれば大体のヤツは焦って動きが固くなる。そうすれば非力なアンタでも最後の一本は非力なりに頑張ればとれるハズよ!」との事らしい。


 ・・・・そこまで非力を強調しますかね。普通。


 傷ついてしまった俺はやってやんよ!ああ、やってやんよ!と言いながら宿に戻って行った。


 まあ、なんだかんだ言ってしまったが、結局その手段を使うしか無いと思った俺はその作戦(命名 速攻闘気一本取り大作戦)の脳内シュミレーションを繰り返していた。


 マルクの構えをじっと観察する。昨日、あの貴族ボンボンのサムソンを始めとする様々な剣士志願のヤツらと戦ったが、マルクの構えはソイツらとは格が根本的に違う。そう、まさにスキが無い。昨日戦ったヤツらはピシっと構えてはいてもぐらつきがあったりでスキだらけだった。しかし。マルクは違う。正に侍と呼ぶのに相応しい。


 「戦闘はまず『相手の構えにちょっかいを出すように戦う』のがキミには向いてるんじゃないかな」とモルドレッド先生が言っていたのだが、マルクのような相手にはそれが通用するのかどうかだ。(ちなみに『相手の構えにちょっかいを出すように戦う』と言うのはどっかの強い人が言っていた事らしい)


 試合が始まるまで、残り3秒も無い中、俺はひたすらつけ込む隙を探すべく、ひたすらマルクを観察する。


 先程も言ったように侍のように構えた構えには隙が無い。木刀を左腰に刺すように構えてる、抜刀の構えである。あの体制から繰り出される居合は恐ろしい威力を発揮するであろう。


 ああでもこうでもないと考え、俺の脳内に「あ、コレイケるんじゃ?」と言う作戦がで掛かると同時だった。


「始め!」と審判の声が響き、一気に、わっ!と闘技場全体に音が戻った。


「うおっしゃああああああああああああああ!」


 それと同時に俺も気合を上げる。


 まずは速攻である!闘気を発動。いくぜオイ!


 せーのっ!


 根性ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


「おっしゃ出たァアアアアアアアアア!」


 俺の体を黄色のオーラが包む。そのまま、マルクへフルドライブで直進。


「どっっっっ!!!!せぇえええええええい!」


 フルドライブでの加速からの左手に持った曲刀での突きをマルクの胴へ。


「遅いよ、シュラハルト!」


 マルクはにやりと笑い、俺を見た。瞬間、ヒュッ!と言う風斬り音が鳴り、俺の左手へ恐ろしい程の衝撃が走る。それがマルクの木刀が俺の曲刀にヒットした物だと気づくのに数瞬掛かった。


 想像以上に強い太刀・・・だが、武器は落ちてない!!!


 俺はそのまま右手の曲刀を左手の曲刀と交差させる形へ持ち込み、鍔迫り合いの体制になる。全身に掛かるかなりの重圧に押しつぶされそうな感覚に襲われる。しかし、武器は落とさないし手も緩めない!


「やるね・・・シュラハルト・・だけど・・・そんなモンかい!?」


 マルクが押し込む力を強める。


「うぎぎぎ・・・・」


 俺の全身に更に恐ろしい重圧が掛かる。とてもこのまま鍔迫り合いを維持できそうに無いくらい、まさにそれは計算外の力の強さである。だが


「そんなモン・・・?ああ、そんなモンですぜぃ。そう、ここまで全部計算通り!!」


 俺はマルクの押し込む力が最も強くなったと感じたところで曲刀をマルクの刀から離し、前に倒れ込むマルクを躱すべく、全力で横に転がる。


「あべすっっ!」


 転がったとき、かなり強引であったために、頭と背中を同時に石畳にぶつけ、めちゃくちゃ痛くなるが、今はそんな状況じゃない。


「隙アリだぜぃ!」


 俺は鍔迫り合いに使っていた力がいきなり俺が鍔迫り合いを解いたために、前にぐらついてるマルクに猛突進。


 これぞ、ついさっき思いついたマルク対策。名付けて、『コケたトコを狙い打つ大作戦』である。ネーミングは気にしないでくれ!察しろ!


 隙の無いマルクに下手に打ち込めばカウンターを食らう事確実。ならば速攻で打ち込み、最低でもマルクと鍔迫り合いにする事を狙い、その鍔迫り合いの最中に武器を離し、バランスを崩した所を狙う作戦である。所謂、綱引きで急に綱を離す作戦に似ている。まあ、バランス崩した時、前によろついた木刀躱せたのはTHE・運が良かったであるが。


 まあ、その作戦が成功しそうな今、手を緩めず、全力で一本とってやるだけである。


「どりゃああああああああああぃ!」


 掛け声と共にマルクの胴に向かって曲刀を振るう。


―― 一本先取!! ――


 そう、確信した。だが


「甘いぜ。シュラハルト」


 俺の曲刀がマルクの体に触れる直前。だった。ヒュッ!と風斬り音が聞こえた。今更木刀で止めようとも遅い。そう思った。その時。


 ガッ!と何かに曲刀が阻まれた。


「なっ・・・」


 言うまでも無く、マルクの木刀である。


 マルクは曲刀が当たる、文字通り直前に、防いだのだ。勿論、刀が入れるような隙間はなかった。つまり、俺の曲刀と自らの胴の間に無理やり割り込ませたのだ。俺がパーシヴァルの手下の斧を防いだ時のように。


 俺が次の攻撃に移る前に、マルクは恐ろしい速さで木刀を抜き、俺目掛けて振るう。


「え・・ちょ・・・」


 反応が遅れた俺はどこへ躱すか考えてしまう。そして咄嗟に思い付いたのが。


「ふんぬぁ!」


 中途半端な体制からのバク転での後ろ回避だった。


「なっ・・・・!」


  どうやらマルクも結構驚いたらしく驚いた目でこちらを見ている。そして慣れてない&無理にバク転をしたため、全身にピキッと激痛が走る。


「ぐ・・どっせい!」


 その激痛を堪え、全力の突進。


「おおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 マルクが驚いていたとは言え、完全に隙を突いたワケでは無く。マルクも即座に反応。木刀を居合の構えに。


 しかし、ここで躊躇っては男では無い。ただ、俺の持てる全力で曲刀を突き込む!


「どっせええええええい!」


「はあああああああああ!」


 俺とマルク、二人の気合が交差し、マルクの高速の居合と俺の全速力の突きが交差した。


――― 当たった! ―――


 俺の曲刀がマルクの体に当たると同時・・・・だった。俺の肩にマルクの高速の太刀がヒットした。


 最悪の場合、マルクが一本


 良くて、同時


 そして


「B-427!一本!」


 奇跡で一本先取だ!




いやあ、久々っすよマジでこれからも頑張りますので見捨てないでくださいね(笑)

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