十九話 転生者ズトーク(?)
「へえ、キミらも転生者なんだ。」
「うわぁ、転生者と会ったのって二年ぶりくらいですかねぇっ?」
現在、十一時五〇分。ちょっとしたレストラン的な場所で、一つのテーブルに俺、フェーラル、そしてついさっき出会ったこの二人で座っている。え?あの格闘ゲームキャラ犬ことアークはどうしたかって?放置だ。放置。面倒い事になっても無視!ハイOK!
「二年ぶりって・・・アンタ達は他にも色々会って来たの?」
「はいぃ!勿論ですよぉ!」
フェーラルの問いに俺の向かいの席に座っているアホ毛ショートボブヘアー(茶色)少女ことマークはちょっと幼い声で答える・・・と言うかこれどう考えてもロリボイs・・・・げふんっ!なんでもない!ええい、睨むな獣娘!
「まあ、仕事柄ってやつだよ。」
「仕事って、ジャージ売ったりみたいなカンジですかぃ?」
見事なオールバック(金髪)そして細い目をした少年ことマルクの爽やかな声での答えに次は俺が問う。と言うかさっきの通販番組モードとは全く別の喋り方だな。この男。
「そうそう、まあ・・ジャージだけじゃなくても色々売ってるんだけどね。今日は剣術大会、つまりスポーツ大会ってことでジャージを売ってたんだ。割と人気があるんだよ?」
「アンタ達はいままで、色々な所でそんな・・・あっちにあったような服を売ってたの?」
「イエスですぅっ!海超えて山超えてやってきたのですよぉっ!あっちこっち大好評でヴァルパニア大陸って所では私達のおかげでファッションが向こう側風なのですぅっ!」
「思いっきり雰囲気壊すわね。アンタ達」
「まあ、第2の人生なんだからそんなに固くなることも無いのですぅっ!」
「そうそう、俺らが会った中ではもっと雰囲気ブチ壊しな転生者がいたんだよ?」
「どんなヤツですかぃ?」
「うん、なんかソイツはSFの世界から転生してきたヤツみたいで転生前は武器職人だったらしいんだよ。しかも材料だって一から作るプロのね。」
「・・それはビックリね」
「そしてレーザーソードなんかを作ってこの世界の人達に広めていたよ。」
「やりたい放題じゃないですかぃ」
確かに、俺達の生きていた所から転生してきた人だらけでは無いんだよな。SFの世界から剣と魔法の世界に転生して来たヤツだっているだろうし。と言うかそれにしてもやりたい放題だな。レーザーソードは無いわ。一昨日言葉一つでレーザーソード的なものつくりあげた俺が言うセリフじゃないけど。
「そういえばアンタ達なんか能力とかって貰ってるの?」
「あ、俺も気になりましたぜぃ!」
「勿論貰っているさ。便利なヤツをね。」
「どんな能力ですかぃ?」
「透視能力」
「まさか・・貴様ッ!」
「いやいや、大丈夫だよ。そんな君等が想像しているような事には使わないよ。しかも、この能力はちゃんと発動してるのが分かるしね。それにこの能力くれた神様がこうでもしないとこの能力は持たせられんっ!って言っていたし」
「つまりは、発動しているのが分からない人の前では・・?」
「まあ、それはどうでもいいとしてだ。マークも能力を教えたら?」
「はいですぅっ!」
「華麗にスルーしやがりましたぜぃっ!」
「コイツ、結構怪しいわよ」
「大丈夫ですよぅっ!マルクさんは紳士ですぅ、一緒に仕事して3年のわたしが言えるのです!」
「まあ、マークちゃんが言うのならば信じるしかないけども」
「大丈夫だって、そんなことはしていないから」
マルクは爽やかな声で否定する。まあ、とりあえず信じよう。と俺は思う。
「で、わたしの能力は肉体強化なのですぅっ!」
「肉体強化って・・・肉体強化ですかぃ?」
マークの口から出た意外な能力に俺は思わず聞き返す。俺のイメージとしては肉体強化と言えば能力発動した瞬間ムキムキムキムキッバキィィィィィィン!ってカンジで筋肉がエラいことになるイメージしかないのだが・・・
「でも、肉体強化と言っても運動神経の強化ですよぉ」
「ただ動きが速くなるってことね」
「そーゆーことですぅ!」
「でも、基本何に使ってるんですかぃ?」
「さいほーですっ!この能力を使って最大速度のミシンと同じくらいまで腕の動きを速くするんですぅっ!」
「いやいや、そこまで早かったら確実に縫い目ズレたりするでしょ?」
「裁縫得意だったんですぅっ!」
「そう言う問題じゃ無ぇよっ!」とフェーラルと俺が同時ツッコミしかし、マークは
「凄く得意だったのですぅっ!」とあっさりカウンター
「で、キミらの能力はなんなんだい?」
マルクに聞かれてこの能力話を最初もに持ちかけたフェーラルがブッ!ってカンジで吹き出す。ハッハッハ!ざまぁみやがれだぜぃっ!
「俺の能力は的が30cm以内に入ったらはいドーンな能力ですぜぃ」
「いわゆるチートかい?」
「そう言うことになりますねぃ」
「そう言ったチート能力を注文した人って今まで見なかったよ・・・。」
「ま、大会で使うつもりはありませんけどねぃ」
「そうして貰えると有難いな。」
「なんと、マルクも出るんですかぃ?」
「勿論。面白そうだしね。前々から出ようと思っていたんだ。ま、当たったら宜しくな。シュラハルト」
・・・当たるパターンだぜぃ、コレ。思いつつも握手を交わす男二人
「で、フェーラルさんはどんな能力を貰ったんですかぁっ?」
「ぶーっ!」
マジでフェーラルは吹き出した。そりゃ吹き出すだろう。まあ、ここで気を使うつもりもないし。からかってやる気満々だけどな
「おいおい、フェーラル。早く言うぜぃ。俺だって言ったんだし。そもそもこの話題を持ち出したのはアンタですぜぃ」
ニヤニヤしながら言ってやる。挑発も兼ねてな。そしてフェーラルは顔を赤くしてなんかぷるぷる震えてる。それが面白くなりさらに言ってやる
「どうした、フェーラル。ん?え、もしかして俺に言ってほしいんですかぃ?え?良いですぜぃ」
ニヤニヤしながらゆっくりと唇を開いていく
「えーとね。なんかね。コイツはー、なんかー、獣に?なりたかったんだってー」
このまま全て言ってやるつもりだったが、その前に一つの隕石と化したようなフェーラルの拳骨が俺の後頭部に直撃し。俺の視界は暗く閉ざされたのであった。