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剣ト魔法トチートノ冒険録  作者: のびよ君
剣術大会編
22/38

十七話 到着!

「死・・死ぬわ・・・っ!げほっ」


 黒龍ブラックドラゴンでの絶叫マシーンもビックリの旅を終え、俺達は剣術大会が開催されるここ、王都クォーリアに到着したのだった。


「そ・・壮絶な旅だったわ・・」


 ぜぇぜぇ息をしながらミカヤが歩いて来る。やっぱりそうなるよね。


「皆だらし無いわね!アタシはこんなの全ッ然平気よ!」


 気を失ったらしいライカを抱えつつ、ドヤ顔のフェーラルが来る。なんで平気なんだよ。普通気絶するか腰抜かすかどっちかするだろう。


「・・・アークは?」


「ん、さっきアンタの先生に連れられてどっか行ったわよ」


 酔ったんだな。うん。なんか修学旅行でバス酔いした子みたいだ。懐かしい。


「・・・・・にしても、ウチの村とは全然違いますぜぃ」


「そうね・・・こんなに人がいるのを見るのって初めてかも」


 田舎出身の俺とミカヤが初めての王都を見て感激している。ちなみに今は王都のヘリポートならぬドラゴンポートみたいなところでみんなで固まっており、ドラゴンポート(仮)をはじめとする外からの乗り物持ちの客を迎え入れるための港は少し高い場所にあるので王都全体を見渡せる。


 すぐ下には市場が見える。なんだか豪華そうな服を来た人達が行き来している。たまに馬車が通っていてなんだかRPGの世界みたいで面白い。


 その奥に見えるのが民家街。赤い屋根に白い壁を起点とした中世風の民家が並ぶ。そして民家外の奥の方には城・・・・・までとは置かないが、大きな屋敷が並んでいる。多分貴族とかそう言うお偉いさんが住んでいるのであろう。


 そして民家街の奥に見えたのが巨大な闘技場。その大きさはもはやキチガイ程であり、高さだけで民家4個分はあるだろう。周りの長さはもう、分からない。それ程デカい。俺が見ている光景は街中に超巨大タライをヘーイ!と落とし、それを闘技場に変えましたーと言っても不思議では無い。まあ、それだけデカい。いや・・・早い話、東京ドームと言えば良かったのか


 その巨大闘技場の丁度反対側には闘技場には全く敵わない大きさだが、なんだか神聖な雰囲気を醸し出している白一色造りの王宮。あの中にモルドレッド先生やランスロットの雇い主(?)である王様がいるのであろう。


「さあて、どうよシュラハルト。剣術大会の方は」


 なんかニヤニヤしながらフェーラルが話し掛けてくる。


「ん、俺達は死線をくぐり抜けたんですぜぃ?温室で剣振ってばっかいる貴族の子とは強さが違うに決まっている」


「よーし、言ったわね」


「言いましたぜぃ!・・・と言うか基本的に役に立ったのはフェーラルとの戦闘だけですけどねぃ」


「え?」


「そうですぜぃ、基本的にパーシヴァルとはチートを駆使して戦ったから剣術の練習になったとは言えないんですぜぃ。まあ、フェーラルとの戦闘だって色々ルールと違う所あったけど、ちゃんとしていましたしねぃ。とりあえず礼を言わせてくだせぃ。ありがとう!」


「・・・なんでそんな率直に礼を言うのよ・・」


 はい?率直に素直になったら悪いのか?アレか?俺は基本嘘吐きのクソ野郎だから素直になってはいけないと?え?・・・・いや無い無い。俺は嘘はつかない。そんなについていなかった・・・と思う。


「ちょ・・・調子狂うのよっ!そんなにっ・・素直に言われると!」


 なんか顔赤くしている。何故?アレなのか。転生前に礼なんて言われないくらい獣が好きで好きで仕方無い娘だったのか?そうなんだな。きっと。そうだ。うん。


「調子狂うとかじゃなくてそこは、『どういたしまして』で済ませてほしいですぜぃ」


「ど・・どういたしまして・・・」


「聞こえない!声が小さい!」


「ど・・・ういたしまして!」


「気合が足りん!もっとだ!魂に火を点けろ!それっ!」


「あぁぁん!もぉっ!どういたしましてぇっ!」


「まだだ!お前ならできる!心を無にして一気に魂に火を・・・げふっ!」


 ごちんっ!とフェーラルに殴られ、俺は後頭部から地面に倒れ伏す。そして俺にマウントポジション。男として喜んだ方が良いのか?それとも人間として危機を感じた方が良いのか。考える。


 いや、どうだろう。女の子と言ってもこの痛い獣属性(笑)娘だぜ?しかも凶暴ときやがった。・・・うん、喜べない。喜べるワケない。


「フェーラルっ!どけぇっ!どくんだっ!俺はまだ・・っ!死にたくない!」


「えぇい!問答無用!アンタのそのアホしか詰まっていない脳みそをカチ割るまでは殴る!」


 ひたすら俺に向かって降り注ぐマウントパンチの嵐。しかも顔面を見事に捕らえており、一発一発のダメージが「あべしっ!」「ひでぶっ!」と悲鳴を上げるくらいの痛さだ。


「ここで・・あべしっ!そんなに・・ひでぶっ!・・暴れる・・ぁべし!と尻尾とかヒでぶっ!見えるぁべし!」


「フン!ここは幸い人通りが少ないからちょっとくらい大丈夫よ!だからぁぁっ割れろぉぉっ!」


 次はマウントパンチからストンピングに切り替え、攻撃して来た。このままじゃ俺は死ぬ!と考え応戦。フェーラルの足を掴み、そぉいっ!とそのままひっくり返す。


「ひゃあああぁぁぁっ!?」


 悲鳴を上げてすてーん!と見事にコケた。ハッハッハ!どうだ!


「くっ・・あんた・・なんてゲスな攻撃を・・・」


 ゲス?なんの事だ!今のは正当防衛だぞ!そして何がゲスなんだ?おい、何故ミカヤは冷たい目をする!?何が!何がゲスなんだ!


「・・・・・見た?」


「へ?」


「見たのかって聞いてんのよ!!あの状態でその位置なら完全に見えるでしょうがぁっ!」


「尻尾が?大丈夫でしたぜぃ。しっかりスカートの中に隠れてた。」


「ぅぅぅぅぅうううっ!一回と言わずに百回!死☆ね!」


 直後フェーラルのボディーブローが俺の鳩尾に突き刺さった。


「がっはっぁべしっ!」


 俺は見事に地面に沈んだのだった。

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