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剣ト魔法トチートノ冒険録  作者: のびよ君
剣術大会編
16/38

十一話 絶対的不利と吹っ切れ


「っぐあ!」


 パーシヴァルの剣による爆風により、俺の身体が宙へ浮き5m程後ろへ背中から落ちる。その衝撃は恐ろしく洒落にならないもので、心臓が飛び出しそうな程の激痛が俺の胸を襲う。ゲホッ!と一度、まぐりのおかしくなった空気の起動を戻すべく、思い切り咳をしたあと、腕に抱えているライカの様子を見る。


「怪我は無いか・・・・」



 相変わらず気を失ってはいるが、特に大きな怪我や火傷は見当たらず息もちゃんとしているので、俺はホッとして一瞬力を抜くが、その直後に響いた爆音により俺は慌てて臨戦態勢へと戻り、パーシヴァルの方へ視線を向ける。彼は先程の不可解な現象により大剣と化した『大噴煙サラマンデルの剣』を構えながら殺意に満ちた先程の表情とは正反対の余裕の笑みを浮かべている。


「まさか、死人が出ないなんて・・・予想外だな・・貴方達、なかなかタフですねぇ、モルドレッドさん?」


 クックックッ、と喉で嘲るように笑いながらパーシヴァルが見た方向・・モルドレッド先生が立っているであろう場所を視線で追う。



「ああ・・・生きているのが不思議なぐらいだよ、パーシヴァル・・・!」



 モルドレッド先生は表情一つ変えずみ言う、いつもの落ち着いた表情で、しかし、モルドレッド先生が無事でないことは誰が見ても明らかであった。


 

「そんな傷で何故そこまで余裕な表情ができるんですかねぇ」


                          ・・・・・・・   

 パーシヴァルの言う通りだ。モルドレッド先生はすでに人の形では無い。両足は焼け爛れ、右手は炭と化し、鎧は砕かれ血が溢れ出て水たまりのようになっている。そして肩口から真っ黒に焦げ、もはや無いと言っても良い左腕。同じ位置に立っていたカルゴも同様、両の腕の関節のあたりが炭と化して顔半分を失っている。こんな凄惨な光景も見ても、動揺しない俺が不思議なくらいだ。


「と言うか、なんでアンタ方はこんな獣のためにそこまで身を張れるんですかねぇ?別に良いじゃないですか。獣が死んだって、別に誰かが不幸になるワケでもないのに」


 パーシヴァルは完璧に馬鹿を見るような目で笑いながら言う。俺はパーシヴァルの言い方に多少所でなく腹が立ち、立ち上がろうと足に力を入れるが、その前にモルドレッド先生が口を開いたので静止して耳を傾ける。



「別に、コボルトを守ろうとしているワケじゃない。」


 言葉を一度区切り


「だからと言って・・・守らないと言うワケでもない」


 モルドレッド先生はもう一度言葉を区切り、一度溜めてから口を開く


「守る、守らないではなく、お前のような腐った者や無知な子供達を正しき方向へ導いてやるのが騎士と言うものだろう!!」



 その言葉を聞き、パーシヴァルは一瞬黙っていたが、すぐにククッと声を漏らし



「クククッ、クククククククク・・・・アッハッハッハッ!モルドレッドさぁん!それは本気で言っているんですかぁ!?まさか騎士の教えを本気で信仰している人がいるなんて思ってもいませんでしたよぉぉぉぉ!?」


 そんな高笑いをしているパーシヴァルをモルドレッド先生は睨みつけると


「撤回なんてしなくてもいい、もうお前は騎士ではない。ただの・・・・悪党だ!」


「怖いですねぇ・・・、でも僕は正しく導かれるつもりはありませんので、今の貴方方なら彼らが相手で十分でしょう。」



 気がつくとパーシヴァルの周りには先程俺がドミノ倒しにしてやったパーシヴァルの仲間の男達が起き上がってやる気満々といった感じで立っていた。


「さて、僕はこの辺のコボルトのしたいでも集めて剥製にでもして売りますかね、それでも多少の価値はあるでしょう。」


 パーシヴァルがなんのけ無しに行ったその言葉がパーシヴァルに圧倒され、フェーラルの死を目撃して、完全に恐怖に飲まれていた俺の感情を一瞬にして怒りに変えた。他者の命を完全に物としか見ていない外道を、フェーラルを消し炭にしたこの男は、俺が叩き潰す。叩き潰してやりたい。と湧き出る怒りと殺意を抑える事もせず俺はライカを抱えたまま立ち上がり、パーシヴァルを睨みつける。



「どうした?ガキ。さっきまで僕にビビることしかしていなかった君が、どうするつもりだい?もしかして僕を倒す気でいるのか?ククッ、だとしたら君はどうしようもない愚者だなぁ!そんなお荷物を抱えた状態で何ができる?」



 何かができるとは思わないし、俺にはこの男を倒す程の力もないし、戦う権利すら無いくらい格下だろう、しかし、俺はこの男だけは絶対に叩き潰してやりたい。叩き潰さなければならないのではなく、だ。だからこそ立ち向かう。何をしてでも。



「俺は確かに何もできないかも知れない、俺は剣を握って2年の12歳の普通の子供だ。アンタらの言う神器級武器とか言うのも分かんないし、魔法の原理すら分からない。無知でただ愚鈍なガキだよ・・・でもなぁっ!!」


 俺はパーシヴァルに人差し指を突きつけ言う。



「アンタを倒せる能力チカラはある!言葉一つで全てがどうにでもなる滅茶苦茶な能力チカラが!俺はこれ以外なんも勝つ手段なんてねぇ!だから!俺はこの偶然与えられた能力チカラを使ってアンタを倒す!」



「くく、そうかそうか、でも、さつき言った事を忘れたワケじゃないよなぁ?」


 パーシヴァルは嘲笑の笑みを浮かべると俺の俺の真横で今、斧を振り下ろそうとしているパーシヴァルのてしたがいた。


「じゃあなぁ、ガキ!そのお荷物ごと真っ二つになるといいよ!」


 パーシヴァルが見せた歪んだ笑み、しかし俺はこの状況で、先程とは真逆に焦っていなかった。それは先程パーシヴァルに向けて、「倒す」と宣言したからなのかは知らない。そしてそんな事などどうでも良い。今は、ヤツを、パーシヴァルを倒す事が先決だ!



「我が領域に立ち入りし敵は我が両手に現れし全て弾く湾刀により地に沈む!」


 俺がそう唱えた瞬間だった、ヒュババンッ!と言う空気を裂く音が2回重なって聞こえ、俺に斧を振り下ろそうとしていたパーシヴァルの手下は一瞬にして地面に倒れ込んだ。



「・・相変わらずムチャクチャだな」


 俺は多少調子に乗った笑みを浮かべて言う。


 腕に抱えられていたライカは。俺は唱え終わった直後おぶさる形になっており、そして俺の両手には青白く輝く稲妻のような光でできた光湾刀が握られていた。


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