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剣ト魔法トチートノ冒険録  作者: のびよ君
剣術大会編
10/38

五話 ネバーギブアップってヤツだ!


 

 俺の木曲刀と敵・・・コボルト娘の棍棒が衝突し、俺の木曲刀が弾かれて棍棒による一撃を腹に食らって俺は地面に倒れる。



「おーい、もう諦めたらどう~?」



「ぐッ・・・」



 コボルト娘の声、今にでも俺に血ヘドを吐かせそうな俺の身体。



 ここまでとは思わなかったのだ。ここまで相手が強く、何よりここまで自分が弱かった事を。




「何回挑んで来るのさ?アンタ剣術大会に出場するらしいけど、アレは2本取られたらオワリよ?試合は終わってんの。分かる?」




 俺を薙ぎ倒すたびに俺に罵声を浴びせるコボルト娘。さっさと俺の戦意を無削り取り、早めに終わらせてカルゴと戦うためだろう。しかし、今俺はそんな事も聞こえない。それくらい、痛みで意識が飛んで行きそうだ。


 だが諦めるわけには行かない。異世界でも普通に過ごして死んだんじゃ話しにならない。そして何より、転生しても殺されて死ぬってにが気に食わない。


 ならば立つしかない。何度も何度も腹を強打され、そこから全身に痛みが広がっている。しかし、俺は立ち上がる。求めているものを手に入れるため。



「うるせぇよ・・・」




「へぇ、立つんだ。アタシには分からないなー。そこまでして勝ちたいなんて。アレかな?ただの馬鹿ってヤツ?」



 

 馬鹿かも知れない。たかがスリル溢れる日常を手に入れるために立ち上がるのは馬鹿な事かも知れない。だからこそ立ってやる。例え馬鹿と言われようとも俺はスリル溢れる日常を求めているのだから。




「ッおおおおおおお!」



 

 痛みを堪え、俺は走る。コボルト娘の所へ。弾かれた得物を拾いあげ、構え、突進する。




「だから無理だって。」



 

 しかし、俺はコボルト娘の一撃であっけなく武器を弾かれ、手放し、腹を打たれ地面に這い蹲る。弾かれた木曲刀がブーメランのように弧を描き俺の方に戻って来る。




「ふー、アタシはそろそろ終わりにしたいんだけど。さもないと・・・」



 

 コボルト娘はふーっと一回息を吐き




「殺すよ」




 今まで軽いイメージしか無かった声だったのが。一瞬、「殺す」と言うキーワードを口にした瞬間重く、冷たい殺気の篭った声になった。おそらくそれが、彼女の魔物コボルトとしての声。戦闘を好まない穏便な種族とは言え、自分達に危害を加える者に容赦はしない。それがコボルトと言う種族の本質なのだろう。




「ねー、オジサマ。このチビッ子いいかげんシツコイからさ~。殺しちゃってもいい?」




 カルゴは一瞬考えるような顔をしたが




「ええ、どうぞ。彼には命の危険を覚悟した特訓。と言う事で連れて来ましたので」




 まあそうだろう。ここで、やめて下さい彼は私の友人です。なんて言ったら約束が違う。別にカルゴとは約束していないが、モルドレッド先生との約束を破る事になる。例え敵わなくても命を掛けて戦う。それが俺がする事だ。ならやる事は一つだ。敵が俺を容赦無く殺す気で来ようとも、敵がどんなに強くても、敵がまだ10%くらいの力しか出してなかろうとも、例え負ければ死ぬとしても、どんなに地面に這い蹲らされようとも、立ち上がって勝つ!それだけだ!!



「オッケ~、じゃあ、殺すよ~ん」



 

 棍棒を這い蹲ってる。俺の頭めがけて振り下ろそうとするコボルト娘。それに気づき、彼女が武器を振るのより早く俺は這い蹲った状態を仰向けに直し、彼女に足掛けを仕掛ける。




「おっと!」



 

 軽々と俺の足掛けをジャンプで避ける。しかし、そんな事は計算済みだ。逆にこんな足掛けが当たるくらいなら俺は這い蹲ったりなんかしてない。




「ま~だ動けたの~?ま、どーせ悪あがきにしかならないんだろうけど・・・・って、わっ!」



 

 俺は足掛けが避けられた体制のままコボルト娘の顔面に向かって木曲刀を投げたが、それもバックステップで回避される。




「ッ~~、どんだけ悪あがきすんのよ!アンタ大人しく負けようって気持ちが無いワケ!?」




「あー、悪いね。俺はムキになって最後の最後まで悪あがきするタイプのチビっ子なんでね」



 

 俺はやっといつもの余裕を取り戻し、弧を描いて戻って来た木曲刀を手に取る。まずは敵から距離を置く。そしてゆっくりと対策を練る。それが俺が今できる事だ。実力が圧倒的に違う相手に勝つにはどうしたらいいかを剣術大会のルール内で考えて(ルール知らんけど)そしてそれを実行して勝つ(その割には足掛けとか仕掛けたけど)




「さあ、コボルト娘。こっからが俺の本気だぜぃ!」




「ダレがコボルト娘だ!アタシにはフェーラルって名前があんのよ!」




「そうか、ではフェーラル!ここからは剣術大会のルールで行こう。ルールは知っているな?」




「へーっ、面白いじゃん。ま、アンタがホンキになっても遅い頃だと思うけど。」




「よし、では始めようか!」



 

 剣術大会のルール知らね!と思いながらも言ってしまったこの台詞。まあなんとかなるかと思い俺は構える。横ではカルゴが「え、マジで!?」的な顔をしながらも「頑張れ!」的な気持ちがこもったの表情で見てる。まあ、何があろうと立ち上がって戦えばいい。諦めずに戦ってやる。





  漫画とかで言うネバーギブアップってヤツだ!うん。



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