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渡り世の詭弁者  作者: 生意気ナポレオン
序章:いわゆる発端編
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第一話:歪みの発端

もし、今からこの小説を読んでくださる方で「人魔のはみ出し者」から来られた方がいらっしゃいました、先に注意をさせていただきます.

恐らく、あちらの方とは書き方と言うか,軽さが違う…と自分は思ってます。

まぁ"自分は"なので、「変わらないじゃん」と言う突込みはご勘弁を。

 突然だが、自己紹介をしたいと思う。おいおい、「無理やりだな」とか言わないでくれよ、こちとら分っててやってるんだからさ。

 さて、何はともあれ、自己紹介だ。俺の名前は"長谷川 茂"。名前は両親曰く、有名な政治家からとったもので、高校二年生だ。

 そのお陰かは知らないが、俺は昔から"口だけは達者"との評価を色んな方から頂いている。(まぁ…人前ではあがり症なので一切口は回らないんだけどな、ああ、あと女性にも同じ理由で話しかけられない…何度、自分に思春期かっ!て突っ込んだことやら)。つまり、身内だけでは口が回るってことだ、意味が無いな。

 ルックスは中の下、もしくは下の上って所で、身長は百七十まであと一歩って所だな、ほんと、あと一センチありゃ百七十なんだけどな。といっても、実はあまり身長は気にしてない、どうにもならないし。


「茂ーまだー」


 俺を呼びかける高い声。綺麗と可愛いの中間に値するような声、俺個人としては、綺麗な声と言わせ貰いたい。俺は可愛いより綺麗と言う表現が好きなのだ。


「悪い楓、待たせたな」

「はいはい、それじゃあ行ってきますおばさん!」

「はい、今日もありがとうね。はら、茂も何時も来てくれてるんだから」

「それこそ今更だろ、母さん。それじゃ、行ってきます」

「全く、行ってらっしゃい」


 一月十日…始業式。冬休みと言う名のインターバルを挟んだはずなのに、いつも通り、俺の幼馴染"柳葉 楓"は俺と共に登校してくれている。

 まぁ、小学校からずっとだから、今更インターバルもくそも無いんだが。この状況が非常に異常なのも理解してる、男の幼馴染ならともかく、名前や口調から分かる通り、楓は女性だ(俺の数少ない、まともに喋れる女性でもある)。これで男だったら、俺の起床時間は早朝の三時、学校に到着するの毎朝一番と言う真面目くんになっているだろう。

 それがまぁ、高校二年にもなって、いちゃいちゃと良くやる物だ。俺の事だが。勿論、今迄にこいつに……そのー、俺の事が好きなのかなと思った事はある。と言うか聞いた事すらある。

 楓は美人である、それもかなりの。同世代の他の女性よりも、若干大人びていて(まぁ高校生ともなれば大人にもあとちょっとの気はするが)、色んな人から綺麗と言われるてるのを聞いた事がある。

 そんな楓がもしかして俺を…? 今思えば童貞臭い妄想である、まぁ"この状況を見ればそう思うのも仕方なし"と言う自分もいるが。

 大分話が長くなったな、聞いた結果だが「習慣だよ、しゅーかん」とのことだった。これを聞いたら諸君は「照れてるんだよ」やらなんやら言うだろうが、その時の顔はとてもそんなものでは無かった。

 そう言うお前はどうなんだと言われたら、俺はこう答えるだろう"俺には勿体ない。だが、付き合いたい…ってか、彼女欲しい"要するにまだまだ、恋に恋する青臭い坊やなのだ。


「なにさっきから黙り込んでるの?」

「いや、インドの国技"カバディ"なる物について考えてたんだ」

「へーそうなんだーすごいねー。」

「信用してないな、まっ確かに嘘なんだが」

「じゃあなんなの?」

「ボールペンで文字を書き間違えた時の百の対処法だ」

「ああ、成程」

「納得するな」


 そんなくだらない会話をしながら、学校へと続く道を進む。見慣れた道、見慣れた景色、最後に見慣れた学校前の横断歩道。っとこれはラッキー!


「おい、楓! 丁度緑だ、急ぐぞ!」

「慌てなくともいいでしょうに……」


 しょうがないなぁと言った表情で言うものの、まだ一月、お互いに寒がりなので、服をかなり着込んでいる。だが、この時期はいくら着込んでも寒い。

信号待ちでじっと待つなど御免だったのだろう、こちらを追い抜くほどの速度で、走って行く。おーい、ちょっと待ってくれー


「茂ー早くー! もうすぐ赤になっちゃうよー」

「帰宅部の俺になんて無茶を……えっ?」


 夢中になって走ってた俺の視界の端、見慣れた風景に紛れ込んだ、一つのノイズ。爆音を鳴らし、極端に車高を低くした車がこちらに向け、速度を落とすことなく此方に向かってくる。その車が起こす、見慣れぬ現象……俗に交通事故と言われるその現象が自分の身に起こるのは――間違い無かった。

 何一つ声を残すことなく、自身の体が吹き飛ぶ。吹き飛ぶものの、意識ははっきりしていた。痛みもあまり感じず、喪失感も無い。視界に映るのは、涙を流しながらこちらに駆け寄ろうとする楓、近くの通行人に止められている、いい仕事してるな、おっちゃん。

 全く、楓も心配することは無いのに。どうせ俺はテレビでよく言われる『奇跡的に軽傷でした』などと紹介されるのだから。などと考えながら―

 

 西暦2012年一月十日、午前七時五十六分。俺は死んだ



◇◆◇◆◇◆◇一面が純白な世界の中で◇◆◇◆◇◆◇



 寝起きと言うのは基本的に好きではない。頭が重く、意識は虚ろではっきりとせず、気分が億劫でたまらない。しかし、この時は違った。頭はいつもと違い、雄大な自然を見た時の様に、激しい運動を終えた後の冷水の様に、溜まりに溜まった課題を片づけた後の様に、爽快感に溢れ、すっきりとしている。


「……比喩表現の使い方が、悪いを超えて感心するな。俺もまだまだ語彙力が足りない」

「お前は、起きて最初に確認する事が語彙力のチェックなのか?」


 此方の独り言に反応する一つの声、しかも女性の。首を油が切れた人形の様に(相変わらず比喩表現が陳腐だ)首を動かし、頭を声の方向へ向ける。

そこに見えるのは、非常に中性的で無表情な、男か女か分からない、などと言うのは失礼だろうが、そんな人物がいた


「ど、どなた様でしょうか?」

「急に大人しくなったな」

 此方の態度に、呆れているような素振りは見せるものの、表情は無表情のまま変わらない。


「此処に来る経緯は思い出せるか?」

 経緯?そう言えば、なぜ俺はこんな所に居るのだろう。思い出せない――思い出したくない、曖昧には――はっきりと、覚えているのだが――覚えてしまっているのだが。

「記憶が二重になっているな……こう言えば分かるか?――お前は死んだ」

 死んだ?あの女性だか男だかは何を言って――

「っ!?」

 脳裏に一気に映像が流れる、轢かれ血まみれの自分、駆けつける救急車、そして……俺の葬式。


「死んだ……のか?」

「ああ」

「じゃあ……もう、父さんには、母さんには、楓には、学校の奴らにも」

「会えない」

 目の前が真っ暗になった。自分が死んでいると言う事実、家族や親しい人たちに会えないと言う事実。十七歳の餓鬼を打ちのめすには十分すぎる。


「……それで、俺はこれからどうなるんだ?」

「お前には、転生してもらう」

 転生?よく小説で見かけるあれか?いや、それ以前に輪廻転生を言う考えはあるか。

「そうか……なら早くやってくれ」

 輪廻転生の考えでは、記憶など残らなかったはず。どうせ、ここで悲しんでも現実は変わらないのだ、ならさっさと忘れ、新しい人生に逃げてしまいたい。

「今回は特別でな。上からお指示で、お前には転生先を選ばせることになった。記憶あり、そのまま十七歳の姿でだ」

 上からの指示?(なのだろう)にも上下関係はあるのか。


「選べる……じゃあ」

「先に言っておくが、お前が死んだ世界と言うのはだめだからな」

 なんだ……ならば、どこでもいい。自分の死に際、大切な人達を記憶したまま、転生? 何処に行ったって、同じだ。

「お前は……魔術や魔法と呼ばれる世界に行きたかったのでは無かったのか?」

 いつの間にか手に持っている、台帳の様なものを開きつつ、神が言う。

 確かに、そんな願望はあったかもしれない、記憶持ったまま転生すれば天才じゃん!などと安易の考えの元に。自分がこうなってみると、記憶を持ったままの転生などまっぴらごめんだ。


「もうどうでもいい……」

「なら、私がお前でも生き残れそうな世界へ転生させる」

「記憶は…消してくれないか?」

「済まないな、私にその権限は無い」

「そうか…」

「それでは、転生を始める」

 その言葉を、皮切りに辺りが光に包まれ始める。肌のぬくもりを感じる、優しい光。だがそれも、暗鬱としていた俺には、ただのうっとおしい光であった。



◇雑音に溢れ、問題に塗れ、心が交差する。このすばらしきせかいにて◆



 目をゆっくりと開けてみると、そこは見慣れた道、見慣れた景色、最後に見慣れた学校前の横断歩道が見える。

「ここは…?」


 自分の足元を見てみると、そこには血がペンキの様にまかれたいた。空を見上げれば、夜空が見え、今が夜であることを実感できる。

近くにある学校の名前を目を凝らして読む、そこにあるのは見慣れた校名、見慣れた校章、焦点をずらせば、見慣れた形の校舎があった。

ここまで"見慣れた"があれば、間違いあるまい。俺は――


「生き返ったんだ…!」

 いや、生き返ったのも正しくないのかもしれない、正式には黄泉返ったと言うべきだろうか?まぁどうでもいい。今一番するべきは……!

「父さん!母さん!ただいま!」


 喜び勇みで来たものの、良く考えてみれば、ここが"良く似た別の世界"、いわゆるパラレルワールドなのではないか?。そう思い始めると先程消えたかのように見えた、虚無感が再びもたげてくる。

 そんな、俺の事は構わずに、声に反応して、木造の我が家の階段がみしりみしりと音を立てる。そしえ、そこから顔を出したのは――


「し……茂なの……?」

 紛れも無い、俺の幼馴染"柳葉 楓"であった。しかし、これが本当に"俺のいた世界の楓"なのか?その疑念が俺の返事を鈍らせる。

「あ、ああ」

「お、おば、おばさーん!!」

「ちょっ!」

「どうしたの!楓ちゃん!」

「茂がー!!」

「茂……あんた、そんなに未練が……」

「いやいや、幽霊じゃないよ!足があるだろ」


 しかし、良く考えてみれば、幽霊は足が無いと言う話も、根拠が無い様な気がする。さて、どう幽霊じゃないと証明するか。


「そうですよ! おばさん! 茂は幽霊なんかじゃないです!」

 おお、よし! いい流れだ、これで味方が……

「体があるんですから、ゾンビです!」

 出来なかった。もう、違ってもこの世界でいいや、ここまで同じだったら。

 そんなこんなでドタバタし、結局俺が黄泉返ったという事を信じて貰えたのは、夜が明けてからだった。



◆温暖な気候。激しく暑い気候。凍える程の気候。三つの気候を持つ世界にて◇



「……上手く行きましたか」


 周囲で、この世にあるおよそ全ての天候が混ざり荒れ狂う中、一人の貴婦人がその気品にふさわしい、上品な笑みでそう呟く。呟きは直ぐにかき消され、宙に混ざる。


 陰謀は、渦巻き、あらゆるものを巻き込む。それはあたかも、彼女の根本にある意思のように。

という事で序章中の序章でしたー.ここまでじゃあ,殆どあらすじに沿って無いですよね。さあさあ、この後どうなる事やら、自分にもさっぱりわかりません(オイ)

と言うか,この小説をここまで読んでくださる方もいらっしゃるかどうか…

はい、ネガティブな発言はやめましょう.

それでは,また次回!


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