1−2
う〜〜〜〜・・書くの遅すぎて、眠い・・・
何なの!?この人たちはぁ!!!
「んっ!うまかった」
とミゼル。
「うん。今までの中で一番だね〜」
レージ。
「そだな」
とキセ。
「おいし〜!!」
とナキア。
「すごい・・「黄金果実」の中でも、レベル高いほうじゃん?」
ルイーゼ。
「・・・お・・黄金果実?」
真紅は顔を真っ赤にしながらも、聞く。
「うん。この世界、「オーリエン」には、黄金果実と言って、とても甘くておいしい、生気があるんだ。それを黄金果実っていうんだ!この黄金果実の上位ランクには、貴族とかのお偉い人方しかいないんだけど・・人間界って、凄いんだね!というわけでもっと食べさせて!」
「え?」
真紅は飛び掛ってくる、ミゼルに驚いた。が、
「やめろ。大体コレはオレが見つけたんだ」
キセがミゼルの首を掴んで言う。
「え〜〜〜〜〜!?独り占めはダメなんだよ〜〜〜!!」
「オマエにだけは言われたくない」
「そうだよ、ミゼル。人疑義が悪いよ」
「ちぃ〜〜〜〜〜・・じゃあ、今度貸して!」
「さあね」
キセが、薄く笑いながら言う。
「・・・・・・・・・・で、お取り込み中悪いんだけど・・」
真紅が、話を遮った。
「あたし、元の世界に帰りたいんだけど・・」
「なんで?」
キセが聞く。
「えっ・・だって、ここじゃあ・・」
「無理」
と無表情で、キセ。
「うんうん」
腕を組んで、ミゼル。
「そうだよ」
にこやかに笑いながら、ルイーゼ。
「嫌だよ」
口を尖らせながらナキア。
「僕らを置いてく気?」
涙目で、レージ。
「えっ?と・・言われましても・・・」
真紅は戸惑う。
ていうか・・そう言われましても・・。
「つーか、あの世界のどこが良いんだ?」
唐突にキセが言った。
「えっ・・・?」
真紅は、少し困った。
「別に・・・・・・・・でも、あたしが本来居る場所だったから・・お父様の行方も捜してるし・・・・・・・」
「で?それで?もしかして、んだけ?」
キセがつまらなそうに言う。
「・・・お父様を探してる」
「ふ〜ん・・・・・・・・・・つまんねぇ・・人生」
「お父様を探してるのは、あたしだけじゃないんだから。雛桜だって、青月菜も赤月菜も・・それに・・・幻影草も・・みんなを侮辱しているようなものよ」
真紅は、キッ、とキセを睨む。
「で?」
「キセ・・・オマエいつも納得行くまで、聞き返す・・悪い癖だよ」
キセはルイーゼの方を少し向いた。
「だってよ、つまんないじゃねーか。ただ、人探しのために人生費やすのって。なんだか、しんねーけど、オレだったら探さないで、今を生きるぜ?」
キセはルイーゼに、言い返す。
まあ、確かに人探しのために人生費やす人は珍しいだろう。
きっと、1ヶ月・・・せめて、1年もかかれば諦める。
諦めない人は別だが。
「でも、あたしたちには、お父様の記憶は無い。有るとしたら・・「優しくて暖かい人」ってことぐらいなの。それに見つけたら言いたいの・・・」
「なんて?」
ミゼルが珍しく真剣に聞き返す。
「なんで、こんな「不完全」なの?って・・」
「・・・・・ところでなぜ、不完全だと分かるの?」
ルイーゼが、本を持ちながら言った。
真紅は、ぐっ、と言葉に詰まる。
「そ・・・・それは・・・・」
「良いじゃん、別に答えたくなければ」
キセが、無愛想に言う。
「どうせ、つまんねーことなんだし」
今まで我慢していた、真紅がキレた。
シュッ、とキセの目の前を赤いものが猛スピードで通り過ぎた。
「・・・・・・・・・・・・何?」
「何じゃない、アナタ・・・・・・・残酷」
「残酷?そうだな、その通りだよ。で?これはなに?」
キセが、壁に突き刺さった薔薇の花びらを指差す。
真紅は、肩にかかった髪を払うと、言った。
「あたしの・・・・・術。まあ・・気にしないで。すぐ見れなくなるから」
真紅は、右手を仰向けにし、胸の前に持ってきた。
すると、ブワアッッ、と一斉に薔薇の花びらが飛んできた。
「うわっ!」
キセ以外の4人は、目を覆い隠した。
そして、しなやかな薔薇の花びらは、一気に凶器となり、キセに向かって飛んできた。
が、バシュッ、と全ての薔薇の花びらは粉々になった。
「剣・・・・・・・・・・・・・?」
「そう、コイツは雷龍だ」
キセはそう言った。
雷龍とは、取っ手に大きな黄色い宝石が埋め込まれた、キセの腰ぐらいの高さの剣である。
「へ〜・・・スイラーム!」
真紅は叫んだ。
すると、神秘的な小さい少女が出てきた。
『何でしょう、ご主人』
「スイラーム、チェンジ・・・出来る?」
真紅は、薄く笑いながら言う。
『おまかせれ、では何にでしょう』
スイラームは、敬礼みたいのをする。
「じゃあ・・・アレ」
真紅が指差したのは、キセがもっている剣であった。
『アレですか?お任せください』
スイラームはそう言うと、赤く光り始め、気づいたときにはもうキセの持っている剣に変わっていた。
「なっ?」
「どっ?スイラームのチェンジはぁ?」
キセは、呆気に取られた。
と、真紅は可愛らしい声で笑い始めた。
「あはははっ!やっぱ、この瞬間大好き!だって、皆かなり驚くんだもん!」
真紅はしばらく笑っていたが、とうとう、先行で飛び出していた。
驚いていて、動けなかったキセだが、間一髪で避けた。
だが、真紅は近くにあった木を使って、キセのいる方向へ飛んで来た。
「くっ・・・・・・」
キセは、空中で真紅の剣を抑える。
キイイィィィンッ、と高い音がする。
二人は同時に、地面に着いた。
その刹那の時間に、真紅は叫んでいた。
「薔薇の刃よ、相手を切り刻め!」
その瞬間、扉が現れたときのように、魔法陣が現れた。それも今までの中で一番大きいというほど大きい、魔法陣。
そして、ゆっくりゆっくり・・・しだいに速く、魔法陣の外側が回る。
その時、ものすごい量の赤い刃がキセに向かって、飛んできた。
「キセ!」
4人は叫んだ。
だが、ルイーゼは見つけた。
真紅が小さく呟いているのを。
3人には聞こえなかったが、ルイーゼに聞こえた。
「そして、その直前で消え去れ」と。
真紅はもともと、相手を傷つける気など無かった。
ただ、あいてと遊びたかっただけであった。
薔薇の刃が直前まで来たとき、キセは1歩引いた。
それは、この世界に来て、初めてだったといえよう。
その瞬間。
さあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ
見事に、薔薇の刃は砕け散った。
そして、しなやかに散っていった。
「・・・・・・・・・・・・・」
キセは状況が分からなかったが、ようやく分かった。
――自分が助けられたと。
「はあぁ〜〜〜・・・」
キセは大きくため息をする。
そして、キセは雷龍を消す。
「負け。オレの負け」
真紅は、スイラームを自分の体に戻す。
そして言った。
「つまらない」
いや、言おうとした。
「楽しかったよ」と。
しかし、今。真紅の声では無い、冷たい声が聞こえた。
バッ、と真紅が振り返る。その刹那の時間。
グレンは、真紅の首を掴んで、持ち上げた。
グレンの方が少し背は大きい。
なので、ほんの少しだが、真紅は宙に浮かんだ。
「ケホッ!く・・・くるしィ・・」
真紅は、苦しそうに言う。
「キミって、本当に馬鹿だね。殺しちゃえば良いんだ。こんなクズ」
「ウゥ・・・い・・いやぁ・・・」
真紅は、苦しそうに顔をしかめながら言う。
「あっそ。まあいいや、ボクは食事が出来るだけでも」
グレンはそう言って、真紅の唇に自分の唇を押し当てた。
「ふうっ!?」
「!」
キセ・その他の仲間は驚いた。が、一番驚いたのは真紅本人であろう。
グレンは「食事」と言っていた。
そう、グレンの食事は、生気を吸うことであった。
それが、「黄金果実」であるならば、なおさら食べたくなる。
グレンは、しばらくしてから、真紅から離れた。
「ご馳走様。おいしかったよ、とても。それじゃ、また。・・そうそう、コレ・言っとくよ」
グレンは紅蓮の炎に半分体を入れながら言った。
「キミの父親は、偶然キミを「不完全」にしたんじゃなくて、最初から「不完全」にするつもりだったんだよ。計画に書いてあった」
――ズキンッ
心が痛んだ。
「え・・・?嘘・・・・・・お父様が・・・?」
「嘘だと思うなら聞いてみるといい。どこにいるかは教えられないけどね、じゃっ」
グレンは、炎の中に消えていった。
夜、真紅は一人、池の場所に居た。
ここは、最初にずっといた場所。
真紅は池に移っている、三日月を見ていた。
これは、完全なもの。
だけど、欠けている。
満月には届かない、三日月。
ほろり、と雫が落ちた。
透明な、雫である。
その雫は後から後から溢れ出してくる。
「う・・・うぅ・・お父様・・・・・酷い・・なんで・・なんでぇ!!」
真紅は、地面にへたり込んだ。
――もう、泣いている意味さえも判らない。
「真紅」
突然、後ろから声がかかった。
キセであった。
真紅は、少し後ろを向いた。
キセは眼を赤くしている、真紅に驚いた。
「大丈夫か?」
キセは心配そうに、手を差し出す。
しかし、真紅はその手を無視して、キセに抱きつく。
「キセ・・・なんで・・?お父様はなんであたしを・・・?」
真紅は決壊したダムのように涙があふれ、もうどうにもすることが出来ないで居た。
「・・・・・・・・判らない」
キセは、真紅をなだめてあげる事しか出来ない。
その間にも、真紅は泣き続ける。
しばらく、この状態が続いた。
キセはようやく落ち着いた、真紅を強く抱きしめる。
「大丈夫。皆ついている」
キセは呪文のように繰り返す。
真紅は、うん、と肯いている。
しばらく、真紅は黙っていた。
そして、唐突に言った。
「キス、していい?」
「はぁ?」
キセは呆気に取られたが、「しょうがないなぁ」という顔をした。
不完全な三日月の夜。
二つの影が、一つに重なった。
しかし二人は知らない。
その裏では、今、大変なことが起ころうとしている。
なんか、グレンと紅蓮が続けて出たよね?ダジャレじゃないからね!